しちみ

麦子さんとのしちみのレビュー・感想・評価

麦子さんと(2013年製作の映画)
3.8
『どんな理由があってもお母さんに会いに来てほしかった?』

この言葉が全体を通して一番印象的だった。本当にサラッと軽く言っただけのセリフなんだけどこれが全てなんだと思う。
どんな理由があるにしろ勝手に産んで勝手に捨てていったんだから今更それ以外のことを気にして会いに行かないなんて都合が良すぎるよ〜。なんて思ってたけど、家に来たら来たでどう接して良いか分からないしストレスしかたまらない…。

こういうことになると子供も親も悲しいからだからみんな会いに行けないのかなぁ。
私はまだ子供という部類に仕分けされるからこの映画を見ても正直お母さんの方にはうまく感情移入出来なかった。
その反面、麦子さんには感情移入しまくり。もし自分が同じ立場だとしても絶対にああいう態度になると思う。

だってなんで今更自分のことを捨てた人をお母さんだなんて思わないといけないのよ…。そりゃ急に一緒に生活始めて大切な本捨てられたり毎朝起きたくもない朝に起こされたりしたら怒鳴りつけたくもなる。
そう、何が言いたいって麦子さんの気持ち超わかるって事だ。うん。

んでもって荒らしに荒らしまくって最後はあっさり死んじまったのさ。
なんて身勝手な!!!泣きたいのに思い出は少ないし、最後の会話は最悪だし私全然お母さん好きじゃない。そう突っ撥ねたくなるのもわかる。それでお母さんのいた街に行って色々考えが変わって〜みたいな予想はしていたのだけど、お葬式のタイミングでお兄ちゃんが泣いてるのはグッと来た。ババアババアなんて言ってたくせにやっぱり自分の親は1人しか居ないんだよね。

そこから麦子さんが遺骨を埋葬するためにお母さんの街に行くんだが、街の人たちもみんないい人で映画なんだけど若干ドキュメンタリー的な雰囲気があった。
赤の他人だった人にはあなたがお母さんだったら良かったのに…と言えてしまうのに一番近い本当のお母さんには何1つ素直な事は言えずじまいで。

優しくてあったかくてスローペースな映画だったけど今の日本を誇張しているようで本当に悲しかった。

この映画を見て思った事が2つ。
1つ目は例えいかなる理由があって子供を捨てたにせよ、その子のことは一生忘れない事。そんで死ぬまで愛を持ってあげる事
。どんな事があっても産まなきゃ良かった、会いに来ないでくれなんて思わないでほしい。捨てた時点で世間からみたらクズ扱いされるかもしれないけどそれでも影ながら子供を精一杯愛していてほしい。

2つ目は常に最後を考えるって事だ。
80年生きてる人がいて死ぬ五分前までは生まれてからずっと仲良かったとする。
でも死ぬ五分前に喧嘩をして『お前なんて友達と思った事がない。大嫌いだ。』と言ったとする。そしてそのまま和解しないで相手が死んだとする。そうしたら仲が良かったのは80年なのに相手は嫌われていた!と思いながら死んでしまうのである。

これってすごい悲しい事だと思う。
そう思うとどんな時でも本当の本当に思っていないことは言わないようにしなきゃ!と思える。
相手を愛し愛され、憎み憎まれ、そして成長する様をうまく描いている。

これは絶対に見たほうが良いな〜。
特に子供の頃と大人になってからの二回。
色々と考えが変わりそうです。

赤いスイートピーと赤い目覚ましがとっても印象的やったな〜。
江ノ島プリズムに続いて2本目の作品だったけどダレることもなく最後まで観れた。この映画、個人的に好きです^^