こたつむり

麦子さんとのこたつむりのレビュー・感想・評価

麦子さんと(2013年製作の映画)
3.8
親の足跡を辿る道。
―産んでくれて、ありがとう。

『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔監督作品。
…ということで、かなりエグイ演出を期待したのですが、失われた親子の繋がりを再発見するという典型的な“いい話”でした。まあ、主人公兄妹から“ダメ人間臭”がしたり、オリジナルアニメに背中がかゆくなったり、同僚の“胸の谷間”にあざとさを感じたりしましたけどね。

でも、基本的には涙腺を直撃するタイプ。
特に“親不孝者”であればあるほど、ピンポイント爆撃の可能性が高くなります。

だから、とても冷静な文章など書けません。
気付けば自分語りに終始し、無様な過去をさらけ出してしまうのです。書いては消し、書いては消し。何回デリートキーを押したことか。いやはや、罪作りな作品ですな。

しかも、目を瞑れば。
余貴美子さんと母親の笑顔が重なって…胸が締め付けられてしまうのです。ああ。ほら。もう。こうして書いている時点で涙腺崩壊間近。イケマセン。「母ちゃん、堪忍」とジャイアンのように呟きたくなります。

さらに僕の場合は。
自分が親の立場になりましたからね。
やはり、邪険にされる側になったからこそ、しみじみと伝わってくる思いがあるのです。そして、そんな立場で鑑賞したからこそ。本作が子供の視点と親の視点を両立させていることに気付きました。いやぁ。見事ですね。

ただ、少しだけ気になるのが。
堀北真希さん演じる《麦子さん》と《お母さん》の関係性が“母と娘”というより“母と息子”に近いこと。まあ、脚本を書いている吉田監督は男性ですからね。“男性の思考パターン”に陥るのは当然のこと。それに、親子関係は千差万別ですからね。こういう家族の形もあるのかもしれません。

まあ、そんなわけで。
鑑賞した後は親に連絡したくなる作品でしたよ。ちなみに僕も…次の休みの日にお寿司を食べに行くことになりました。でも、対面したら…きっと優しい言葉なんて出てこないのでしょう。未だに親の前では“こども”なのですね。お恥ずかしい限りです。

あと、最後に。
本作の“助演小道具賞”は目覚まし時計に決まりですよ!
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