亘

危険なプロットの亘のレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
3.8
新学期、フランス語教師ジェルマンは作文の課題からクロードの才能を見出す。彼はクロードを個別に指導し物語を読み進めるが、次第にクロードの物語はクロードの親友ラファとその家族、そしてジェルマン自身を脅かす。

クロードの物語を軸に描いたサスペンス。ジェルマンはクロードの才能に惹かれ、物語に引き込まれ、いつしか自分も巻き込まれてしまう。クロードの物語はいつも「続く」という言葉で終わり人々を引き込む。さらにクロードの物語が、次第に綱渡りのような危うい展開になるという点も見る側を惹きつけるポイント。寡黙な美少年クロードの謎めいた雰囲気も作品をより魅力的にしていた。

クロードが作文の題材に選んだのは親友ラファ。1年前学校に迎えに来たラファの両親を見たことから、クロードはラファの一家に興味を持ち始める。ラファと仲良くなり数学を教えるようになってしばしばラファの家に上がり込む。そこからクロードの物語はラファ一家の謎や魅力を描き始め次第に危うさを増していく。

クロードの物語は、題材自身が緊迫感のある物だけど、ジェルマンの個別指導によってリアリティーが増したりより魅力が増したりしている。そして何よりジェルマンの指導によってジェルマン自身が物語に入り込みすぎ焦ったり窮地に立たされてしまう点はサスペンスの要素が高いと思う。物語をもっと読みたい・魅力的にしたいというジェルマンと物語の危険さを警戒する妻も対照的。

終盤クロードの物語は"結末"へと向かい始める。彼がラファの家庭に興味を持った理由やジェルマンの過去が明らかになり、ジェルマンは物語の深みにはまったせいで失敗をする。2人が並んで物語を作り出すラストシーンはどんちゃん騒ぎの後の妙な静けさのようでもあり、どこか親子のようであった。

印象に残ったシーン:クロードがエステルと仲良くしているシーン。2人で物語を作り出すラストシーン。

余談
・原題は「その家の中で」という意味です。
・原作はスペインの作家による舞台劇"El chico de la ultima fila(最終ページの男の子)"です
亘