映画ケーン

野獣死すべしの映画ケーンのレビュー・感想・評価

野獣死すべし(1980年製作の映画)
4.6
久々に観返したからレビューし直し。

初め観た時は高校生くらいで「良く分かんね〜」が正直な所だった。
でも、今観ると超面白い事に気付いた。
ニヒリズム話として観ると分かりやすい。

支配する側からされる側へジリジリと変化して行く電車のシーンは見事。続く、リップヴァンウィンクルの例えの様に1人あたかも戦場に居るかの様な立居振る舞いも面白い。
ただ、ラストの特大一人芝居は要らない。
彼がどんな悲惨な戦場を見て来たのかを「馬脚を現した」みたいな安易な描き方はすべきでは無かった。想像に任せてしまった方が良かった。

「いや〜どうも尾行が下手でね」って自分では言ってるものの、いくらなんでも下手過ぎやしないかw


『地下室の手記』『タクシードライバー』的ニヒリズム、孤独と精神的な性的不能者。
今は暴力が検閲されて姿を消したが、「破壊衝動」はハーレム・日常系アニメの上で「幸福欲求」に形を変え残ってはいる。しかし”幸福な日常への渇望”という終わりの無い欲求は不景気との間で自己欺瞞を来す。
この象徴的に現れている変化から分かる様に、今日のやり場の無さはここから来ているのではないか。『砂の女』の中でこんな言葉がある、「孤独とは、幻を求めて満たされない、渇きのことなのである」。
拳を掲げ、もういっぺん——
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