April01

MAMAのApril01のレビュー・感想・評価

MAMA(2013年製作の映画)
3.3
日本的な怨霊、同時に母性と愛着を感じる物語。弔われていれば違ったのかも、などと供養と成仏について考えてしまう。弔いとして持たされた三途の川を渡るためのお金を子供に使った怪談「子育て幽霊」の切なさを思い出す。

事の発端となった2つの事件の詳細を描かず、現在の暫定家族に焦点を絞っている為、情報不足ゆえの消化不良感がやや残る。
実父の起こした事件はニュース映像でさっと説明されるだけ。姉妹の様子からは裕福な家庭できちんと子育てしてた印象を受けるし、心残りから化けて出てきたいのは実母の方だろうに忘れられてて気の毒。母性がテーマなら実母視点の事件背景くらいは示してほしかった、MAMAに横取りされてて救われない。
MAMAの事件は実子なら授かった状況を知りたいし、そうでないならさらうほど執着心が生じた理由が欲しい。狂気と片づければ簡単だけど。もしあったなら正気だった時の描写を入れればラストに説得力が出たかも。もう少しMAMAに共感したかったかな。

叔父と姉の対面が感動的。眼鏡をかけて目に入った姿をすぐ認識してパパ!と呼びかけるあたり潜在意識の中にずっと実父の存在があったんだな~と。

姉3才→8才、妹1才→6才という年齢と時間設定が絶妙。この年齢でなければ成立しえない物語ではないかと。自分が想像をめぐらせたのは、一定の年齢になると始まる体の変化により女子が野生動物的に生きていくのは難しくなりそうという点。だから姉にとってはギリギリセーフだったし、妹にとってはMAMAへの愛着が完璧になる十分な時間的猶予としての5年間。

ジェシカ・チャスティン演じる恋人が短い黒髪スタイルとタトゥー入りボディの尖ったミュージシャン風で危うい感じだったのに次第に変化する様子が見ごたえあり。病院で寝てる人に「世話は俺がする、世界一大事な存在なんだ」とかなんとか何もしてないのにやってる感+姪っ子>恋人みたいなことを怒られ気味に言われてムッとする場面もあっただけに奮闘ぶりが素晴らしい。
April01

April01