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フリークス(怪物團/神の子ら)のYOUのレビュー・感想・評価

3.7
トッド・ブラウニングが監督を務めた、1932年公開のサスペンス・ドラマ。

・最大の特徴である「実際に見世物小屋に出演していた演者のキャスティング」が当時非常に問題視されたそうですが、むしろ当時の風潮に沿って非当事者をキャスティングしていらそれこそ目も当てられない結果に終わった事は目に見えてるでしょ。

・ストーリーはビックリするくらいシンプルで、これはこれで却って失礼な感想かもしれませんが、普通に面白かったです。


前述した通り本作最大の美点は「早過ぎた当事者キャスティング」です。何なら当事者キャスティングに映画界全体の意識が向き始めたのなんてここ2〜3年のことですし、本作はそんな現代にも通ずる社会的テーマを90年も前からいち早く、尚且つこれ以上ない程明快に示してみせています。もちろん話があまりにも勧善懲悪過ぎてそれはそれで却って一面的な理解に留まっているような気もしなくもないですが、それでもこうした作品が成立していること自体が当時では極めて画期的な事ですし(長らく封印されていたので「成立している」とは言えないかもしれませんが…)、そう思うとあれから90年経った今になってようやくそうした問題意識が浸透し始めて来たというのもかなりおかしな話ですよね。何より私は本作が各所で「禁断のホラー映画」や「古典的恐怖映画」と紹介されている事にこそ一番違和感を感じます。話そのものはむしろ痛快リベンジムービーですし(”痛快”を通り越してるきらいはある…)、楽しいユーモアも豊富に盛り込まれています。『ナイトメア・アリー』の流れで観てみましたが、これは確かに一見の価値あり!




























































悪役に対する作品からの容赦ない制裁とそのブラックなオチ、ひいてはそのオチのシーンの見せ方から構図に至るまで『ザ・フライ2』はかなり本作からの影響を受けているような気もする。果たしてこれは後味が良いのやら悪いのやら…(笑)
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