MasaichiYaguchi

スティーブ・ジョブズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

スティーブ・ジョブズ(2013年製作の映画)
3.3
この作品は2011年10月5日に56歳で亡くなったアップルコンピュータの創業者スティーブ・ジョブズの半生を描いている。
映画では社名の由来や、ジョブズの実家のガレージでの創業風景も描かれる。
エンドロールを見て、ジョブズ役のアシュトン・カッチャーをはじめ友人を中心とした創業時のメンバー役の俳優夫々が本人たちにそっくりで驚く。
仕事で技術者、特に設計に携わる人々と打ち合わせする機会が多いのだが、昔は圧倒的に「Mac」愛用者が多かった。
会社の「OS」が「Windows」ということもあり、プライベートでもずっと「Windows」なのだが、本作を観て何故彼らが「Mac Fan」なのか分かるような気がした。
ジョブズたちが作った「Mac OS」は堅牢で馴染み易く、俗に言う「痒いところに手が届く」のだと思う。
「天才は変わり者」という例に洩れず、独創的な天才であるジョブスは完全な「自己中」人間!
自分の考えは絶対に曲げず、理想を追い求め、それを実現する為に足手まといや障害になるものは、それが如何なるものであろうと排除する。
だから自分の理念に追随しない者、付いてこれない者は、たとえ友人であっても首にしてしまう。
それは彼の人生上でも「進む道」の「障害」になると感じたら、自分の子供であっても認知しないという非情さを発揮する。
物事が順調な時は彼の「暴君ぶり」に人々は目を瞑るが、いったん陰りが出てきたらそっぽを向かれて彼は孤立する。
それは「身から出た錆」以外の何ものでもないのだが、映画で描かれた彼の「孤独」は天才ゆえの「業」なのだと思う。
56歳という人として円熟期を迎えての死は惜しまれてならないが、彼が中心となって生み出した革新的な「知恵の実」である製品の数々は、我々の世界に広がりや可能性を与え続けている。
そして彼の「物作り」に対する情熱や精神は多くの人々に影響を与え、受け継がれていくと思う。