ことちら

親密さのことちらのレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
4.2
はじめて見た時は気づかなかったんだけど1部の電車のシーン、1部終盤の長回し、最後の電車のシーンは音声後撮りっぽい。演劇が直接は絡まない素の会話はでもどこか芝居くさい言い回しで声の演技ものぺっとしていて、2部の劇中劇での会話のほうがよっぽどリアルに聞こえる。というのも2部で衛を演じている間はぼそぼそ喋るリョウはいつも「イケメンぶってる」ので、他にもたとえば怜子はどうなんだというとその素の声、弱さをむき出しにできるはずの舞台にはいない、それで舞台を見る怜子の顔をまじまじ見ることになる。しかし実際にこの舞台の演出を担当している平野鈴は今どのくらい"怜子"でいるのか、とか考えてはじめて、この映像に映っている空間や1部で演じられた役者たちの人生、その更に外の役者本人の人生へと多層的な意識ができていく。その折り重なりを映画の外の時間へと広げる、最後のシーンはやっぱりとても感動的だった。