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ばしゃ馬さんとビッグマウスのazのレビュー・感想・評価

3.6
2013.11.27 劇場
まず最初に言っておくと私は特に夢を持っているわけではないし夢破れて諦めた経験もないのでこの点数なのかもしれないということ。それがあったら響くところはまた違ったのかもしれない。

キャスティングがまず完璧。劇場内見回したら安田章大目当てのキャッキャしてる女子が多かったが、安田くんも意外や意外すごく良かった。特に秋野暢子演じる母親と対する時の表情が素晴らしかった。
もちろんその秋野暢子も関西のおかあちゃんがすごく似合っていたし、井上順も言わずもがな麻生久美子も、そしてなんといっても岡田義徳がすごく良かった。

夢への拘泥という部分ではうまく共感できなかったものの、麻生久美子が岡田君の部屋で彼へ心情を吐露するシーンは、手ブレと共鳴してこちらまで揺さぶられて苦しくなった。

劇中でダメ出しされていたことをあからさまにこの映画では達成してやってるぜ!な感はちょっと苦笑い。シナリオライター志望の夢と奮闘と挫折という「暗く」て地味な内容を、「恋愛」を交え「自然光」を多用して「明るく」見せ、「観客にわかりやすく」描いていたなー、というのが誰の目から見てもわかってしまって残念。

それと、この監督の持ち味なのかもしれないが、意味ありげな「素敵カット・風景」のインサートと、笑わせたいのであろう変な動きをする通行人や台詞がところどころ突如に挟まれていて、私にはうまくのれなかった。

序盤、嫌なやつしか出てこず半ばイライラしたが、人間性を描くという観点で見ればよく切り取っているんだとも思う。途中からそこに深みが増して、人物もどんどん素直になり、最終的にはそれぞれに好感を抱いているという描き方も見事。
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