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ゼロ・グラビティのGreenTのレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
1.5
短編で良くない?!って思いました。

スペースシャトルのハッブル宇宙望遠鏡のアップグレードを行うライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)は、これがスペースミッション初参加。ベテランの宇宙飛行士マット・コワルスキー (ジョージ・クルーニー)とシャリフというもう1人の作業員と、宇宙空間での船外活動をしている。

宇宙服を来た作業員目線の景色がすごい斬新だなあと思いました。ゼロ・グラビティ、引力がないからふわふわ漂ったまま、明るい地球、真っ暗な宇宙、と360度パノラマビューで、音もなく。

そこに膨大な量のスペースデブリ(宇宙ゴミ)が高速で接近していると管制塔から連絡が来るが避難が間に合わず、ライアンとマットは宇宙空間に放り出される。

命綱もなく、グルグル周りながらどこに行くかもわからないという状況はめっちゃ怖いだろうなあと思うのですが、サンドラ・ブロックの「ああ〜ああ〜ああ〜ああ〜ああ〜」という一本調子な演技ですごい緊張感なくなる。

この人名優なのかなあ。ヘルメット被ったまま顔の見えない演技をこなせるのか?って思ったけど、後半メット取っても表情も声のトーンも変わらないしなあ。

ジョージ・クルーニーも「宇宙が大好きだから宇宙で死んでも本望というイージー・ゴーイングな」チャラ男というかちょい悪オヤジキャラってのがすごい鼻に付く。

この2人のキャスティングは、個人的には最悪のキャスティングだなあと思った。なんというか、普段SFに興味を持たない中年女性層の集客を狙っているのかな?

この後、危機一髪を逃れてはまた危機一髪、が延々と繰り返されるので、最初は「すげー」と思ったヴィジュアルにも飽きてきて、「そろそろ船内に入って、なんか人間ドラマを見せてくれよ」と思いました。

サンドラ・ブロックのキャラは、幼稚園のつまらない事故で娘が亡くなった失意の母。ジョジクルは、さっき言ったようにイージー・ゴーイングなキャラでどんな困難があっても「見ろ!この美しい地球・・・」とか言って、自分を犠牲にし、サンドラ・ブロックに「生き方を提示する」みたいな、斬新なヴィジュアルに対して極端に陳腐なプロット。

中国の宇宙船に入ると、引力がなくて色んなものが浮いている中にピンポンの玉とラケットがプカプカ浮いているって発想も薄っぺらいなあと思ったし。

危機も、「宇宙でコントロールが効かない→なんとか船内に入る→またスペースデブリが来て破壊→宇宙でコントロールが効かない→なんとか船内に・・・・」とバラエティがないので、18分くらいの短編の方が印象的だったのでは。

で、最初は宇宙空間は全く無音で、スペースデブリが飛んできてカオスになっても緊張感あったんだけど(サンドラ・ブロックの「ああ〜ああ〜」でかなり萎えたけど)、段々とドラマチックな映画音楽や効果音を使うようになってからは安っぽい感じになっちゃった。

脱出ポッドの燃料がなく、暗闇の中でサンドラ・ブロックが交信しても交信しても誰も返事してくれない・・・・ってカメラが退いていって「ジ・エンド」にしてくれ!って思ったけど、まだまだまだまだ続く・・・・いい加減嘘くさくなってくる。

原題のGravity は「重力、引力」ですよね。映画のオープニングに「宇宙はすごい寒くて、音も空気もない・・・人間が生きるのは不可能・・・」とかってキャプションが出て「グラビティ〜」ってタイトルが出るのですが、多分「娘を失って、人生の重荷が全くないサンドラ・ブロックのキャラは生きる意思がない」ってのと掛けている?それが地球では重力がある、だから生きられる、って感じにしているのだろうけど、そのテーマ部分に関しては取ってつけたような感じがしました。

で、ああ〜地球に帰ってきた!希望!みたいなラストになっているけど、あんななんにもないところにランニングと短パンという服装(靴履いてたかな?)、食べ物も交信するものも持たず、どこにいるのかもわからないで、死んじゃうんじゃないの?って思った。

あと、宇宙でああいうことが起きた時、なんでみんな都合良く何もないところに落ちるんだ?ニューヨークのど真ん中とかに落ちたらどーするんだ?なんかアメリカの田舎でサテライトの破片だかが落ちてきたってニュースを聴いたことはあったけど・・・。
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