じゅんふう

ゼロ・グラビティのじゅんふうのネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

12/11
これほど映画館で見たかったと悔やまれる作品は後にはないだろうと思う。はじまってからの13分間のワンカット長回しは狂気じみているし、見ていて心拍数がどんどん上がっていく息苦しさ。ぐるぐると映像が回り、無重力の恐怖をこれほどまでに感じさせるぐらいのカメラワークに軽く酔いそうになる。90分ノンストップでハラハラしっぱなしで駆け抜ける。劇中、不安が増長するような無音と、激しくなっていく息使いの音と、追いつめていくような轟音響の緩急が怖すぎて軽くホラー映画のような恐怖感。ほぼサンドラブロック一人の出ずっぱりというのも孤立感まして怖く思える。ISSにたどり着くまでの、息が持つか持たないか、次第に見ているこっちまで意識も朦朧としてきて苦しくなってきて、という瞬間からの、ISS侵入、宇宙服脱ぎ捨ててゆっくりと円を描くように回転するライアンの美しさ、九死に一生の束の間の安堵感、静寂さ含めて生命の誕生のような神秘的な感動を覚えてしまった。その他トラブル続き、一難さってまた一難で命からがらで地上まで落ちていく、危険度MAXの死に瀕したスリル満点ジェットコースターのような、生きた心地のしないハラハラさ。本当に見事です。そして、最後、ライアンが水から上がって大地を踏みしめて重力を感じながら歩き出して「生きてる、体が重い、空気がある、素晴らしい…」と感動するあの場面でドーンと「Gravity」とタイトル(原題)が表示される演出、100億満点じゃないですか?
本当にテンションが上がりっぱなし文字通り息つく暇もなく駆け抜ける90分。最高すぎて苦しすぎて見終わった後の安堵感たるや。
冒頭にも書いたけど、ぜひとも映画館、IMAXで見たらもう現実に帰って来れなくなる程トリップできたと思う。それだけが唯一悔しい。いや、本当に素晴らしい映画でした。思い返すと矛盾点不備点行動不明点が細かく細かく出てきてしまうんですけど、それさえもどっちでもいい!と思える映画的パワーを持っている。骨抜きにされました。
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