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ゼロ・グラビティのおーたむのレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.0
こないだのアカデミー賞で二度目の監督賞を受賞したアルフォンソ・キュアロンの、監督賞初受賞作品を鑑賞。
けっこう凄かったです。

何が凄いって、もう、映像につきます。
まるで、本当に宇宙で撮ったんじゃないかと思わせるほどの迫力と鮮烈さには、ただただ圧倒されました。
単に鮮やかというだけなら、近年ちょいちょい見かける、宇宙が舞台のヒーロームービーなどでも事足りるんですが、本作は、リアリティが半端ないです。
特に、物体の運動の仕方。
衛星の破片や登場人物の体などが、無慈悲なまでにルールに則った動きをするのを見てると、「宇宙の意思が働いている」のではなく、「宇宙に意思なんかない」のだと示されているようで、フィクションぽくないなと思えたんですよね。
とにかく、凄い映像体験でした。

こういう作品ですから、演者さん…というか、ほぼサンドラ・ブロックですけど、大変だったろうなと思います。
表情や仕草というよりは、動作というレベルで演技しないといけないし、キャラクターを演じながらも、その実、表現しないといけないのは、宇宙ですし。
なにやら、もともと本作の主演として名前が挙がっていたのは、もう少し若い女優さんだったようですが、本作はサンドラ・ブロックで良かったと思いますね。
娘を喪った独り身の女性というのが、作品のリアリティをさらに高めてた気がするし、そういう人物を演じるのにぴったりな女優さんだと思うので。
本作は、アカデミー賞において、監督賞に加え、女優賞と撮影賞にノミネートされたとのことですが、その三部門は、たしかに素晴らしかったです。

ただ、そういう持ち味の作品なので、ストーリーに魅せられるという感じではなく、したがって、お話の部分を重視する人にとっては、平坦な作品に見えるかもしれないなとは思います。
かく言う私も、凄いとは思いましたが、抜群に楽しいとは思いませんでしたし。
でも、宇宙の壮大さ、美しさ、静かさ、恐ろしさなどを、ここまできちんと見せてくれる作品も、そんなにないよな、とも思います。
刺さるか刺さらないかは別として、映画鑑賞が趣味という人なら、一回は見てみるべき作品でしょう。
現代の撮影技術の凄さを感じるには、うってつけの一作です。