あきらむ

ミステリアス・スキン 謎めいた肌のあきらむのレビュー・感想・評価

3.7
自我が確立していない時期の、性的虐待によって、歪んでしまった人生についての記録。「遊び」と銘打って行われる一方的な性的な搾取。やられた側はその場は良くても、その後一生ことあるごとに、その出来事を思い出して、どうにもならない感情に苛まれるだろう。
主役のふたりは見た目や性格は真逆だけどどこか無邪気さが抜けきれていないし、アダルトチルドレンぎみなところが似ている。いい人なんだけど、食物にされる雰囲気がよく出ている。ふたりが子供っぽいものが好きなところも注目すべきで、最後の方でクマのぬいぐるみをずっと握っているところに、未発達のまま来てしまった若者の苦悩が見て取れ、死にたくなる。
心配してくれる常識的な人達の友情や親愛の情に、涙。優しい世界と残酷な世界が交互に襲いかかってくる。
性的な描写が生々しくて辛いし、どんな顔してみればいいんだよ!これ!笑うのも違うし泣くのも怒るのも違う。なんだかとても傷ついた。
終わり方、心をズタボロにされたけど好きだよ。