一人旅

パトリオット・デイの一人旅のレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
5.0
ピーター・バーグ監督作。

ボストンマラソン爆弾テロ事件の真相を描いたサスペンス。

2013年4月15日に発生し4名の犠牲者と約300名の負傷者を出したボストンマラソン爆弾テロ事件の事件発生直前~容疑者確保までの一連の流れを、『ローン・サバイバー』(2013)のピーター・バーグ監督が忠実に再現したサスペンスの力作で、ボストン市警・FBI+被害者+容疑者の3つの視点を交錯させながら多面的に事件の真相を描き出しています。事件当時防犯カメラが捉えた実際の映像や写真を違和感なく取り入れた、臨場感+リアリズムに満ちた作品であり、あたかも実際に現場に居合わせたかのようなスリリングな錯覚を体感させてくれます。

爆発前後の監視カメラの映像から容疑者を特定し、捜査本部に構築された事件当時の状況を緻密に再現したセットを元に容疑者の足取りを分析する。FBIと地元ボストン市警による共同捜査では、お互いのプロ意識が激しくぶつかり合い、やがて容疑者確保のための執念が両局の足並みを揃えていく。FBIと警察の頭脳がフル回転する「分析捜査」から、主人公の警官らが実際に住宅街を綿密に巡回する「実動捜査」へ、静と動の対照的な捜査の過程が絶妙なバランスで描写されます。住宅街における熾烈な銃撃戦は『ローン・サバイバー』の臨場性を踏襲していますが、戦場ではなく閑静な夜の住宅街で突発的に発生する激しい銃撃の応酬に、戦争映画のドンパチとはテイストの異なる身近な恐怖と現実味に襲われるのです。

役者の演技も出色です。主演のマーク・ウォールバーグは容疑者確保に執念を燃やす熱血漢の巡査部長を熱演していますし、それとは対照的にケヴィン・ベーコンは捜査の陣頭指揮を執るFBI捜査官を冷淡無情な演技で魅せ切っています。そしてボストン市警警視総監のジョン・グッドマンやウォータータウン市警巡査部長のJ・K・シモンズもそれぞれ個性的演技で無二の存在感を発揮しています。