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パトリオット・デイのshoh323RAのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
4.0
2013年に起きたボストンマラソン爆破テロ事件を題材にした作品。

実際の経過をリアルに描くためか、ドラマ性は弱い。
しかし警察関係者のみならず、事件に様々な形で関わる一般市民の視点をも用いた群像劇スタイルがとられていることによって、また近年のピーター・バーグ作品特有の手持ち撮影、かつペースの速い編集で描かれており、臨場感と没入感に溢れていた。
そのため、事件性だけで133分をノンストップで描ききっており、長さをまったく感じなかった。
ただ一部、実際の映像を用いている部分が見辛く、個人的に陳腐な演出に思えてしまったのだが…
またトレント・レズナー&アッティカス・ロスにおけるSTが、テンポの速いショット、視点の切替における連続性に一貫性を感じさせ、違和感なく展開についていけた。
そして同監督作品『バトルシップ』でも驚かされた、精密な音響効果が本作でもさも当たり前のように施されており、STとのバランスが工夫されたミックスが、上記没入感を与えることに一役買っていたと思う。時折ぜひ耳を傾けるべし!
どういったドラマ性を用いて、映画化するのか期待していた分、拍子抜けだったが、一方で釘付けだったのも事実であり、大変満足だった。
映画は事件を描くだけで成立するのか否か、また映画とは何なのかよく分からなくなってしまった。


っと、昨晩の試写会鑑賞から遅くなってこのレビューを書いていた矢先、マンチェスター・アリーナでの爆破テロの速報を今知った。
まだ何も確かな情報が報道されてないので、何も分からないが、同時に今まさに、報道では描かれない捜査が続けられているのだと、本作の影響で色々と想像せずにはいられない。
凡庸な意見でしかないが、改めて今観るべき作品だと確信できたし、強くお勧めしたい。
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