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パトリオット・デイのshironのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
5.0
ボストンマラソンの爆弾テロは記憶に新しいですが、その捜査の裏側ですって?!
『キャプテン・フィリップス』を見た時にも「アメリカの捜査機関スゲ〜!敵に回すと怖いな;」と思ったので
本作では、短期間で犯人逮捕に至る捜査の過程が見られるとあって、興味津々でした。

そして、てっきり捜査員側からの物語だと思っていたので、時系列に群像劇で描かれる人々を
「この人達はこの後の犯人逮捕に、どんな風に関わってくるのかなぁ?」なんて思いながら見ていたわけですが、思わぬ展開にショックを受けました。
爆弾テロの後、犯人逮捕までに起こった“事件”を覚えていなったもので。。。
そうか…彼がそうだったのか。

これ、当時の事件を覚えてらっしゃる方がご覧になったらすぐにピンときて、時系列に描かれる彼らの“日常”自体に胸を締め付けられたのではないでしょうか?

そして注目なのは、時系列の群像劇の中に犯人側の日常も含まれていたこと。
決して許される事ではないので、犯人の肩を持つつもりは更々ありませんが、テロリスト達も生身の人間であり、一筋縄ではいかない問題の根深さを感じました。

時系列で描かれる人々とは別に印象的だったのが、封鎖されたテロ現場警備に残された警官。
彼の目に映るのは、静まり返ったメインストリートと足元に横たわる証拠品扱いとなった……。

この試写会の翌日、イギリスのソフトターゲットテロの報道が舞い込んできて、ボストンと同じく8歳の子供が犠牲になった事を知りました。

報道の数字に心を痛めながらも、そこに個人の顔が見えたとき、初めて私たちは事件を身近なものとして受け止め、考えられるようになるのではないでしょうか?

ラストは、主人公のモノローグで纏められますが、それだけではやや綺麗事にも思えるテーマの後に、当時の映像やご本人達のインタビューが流れ俄然説得力が増します!!

捜査員や警察官はもちろん、被害者の方々、事件に関わった人々、エールを送ったボストン市民。
そう!まさにボストンの物語でした。

ドキドキハラハラ、迫力もあって、エンタメとしても楽しめるうえに、
風化させてはいけない記憶を、映画として残すことの大切さを感じました。

多くの人に見ていただきたい…いや、多くの人が見るべき映画です。
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