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パトリオット・デイのahのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
4.1
ボストンが舞台の映画では「ゴーン・ベイビー・ゴーン」や「ザ・タウン」が印象深い。が、どちらもフィクションである、

まだ傷跡生々しいボストンマラソンでのテロを描いた本作は正面切って「ボストン映画」に名乗りを上げ、観終わって「ボストン映画」に恥じない深い余韻を覚えた。

被害者や捜査陣営などの事件に関わる人々の事件前からの日常を丁寧に描く事で、「」かっこづけで括られない人間味をもたらし、同時に犯人の事件へ向かう描写も手を抜かない事で、犯人はモンスターではなく、誰かの友人や家族であり、血の通った人間であると感じられ、だからこそ余計に恐ろしい。

恐怖や憎悪に立ち向かうのは唯一「愛」。事件を経た人の言葉で語られるのは尊いが混沌たる現在、「愛」の力が試され何度も何度も血が流される。

地味ながらグッときたのは、撃たれながらも銃を奪われまいとした若き警官と、ベンツで拉致られた中国移民のマニーのエピソード。なんて勇気のある。自分だったらとてもじゃない。とみてて胃が抉られるようだったよ。

渾身の1作、とても疲れたけど、観て良かった。
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