なっちゅ軍曹

パトリオット・デイのなっちゅ軍曹のレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
4.5
『ローン・サバイバー』『バーニング・オーシャン』に続くピーター・バーグ×マーク・ウォルバーグのコンビによる実話3部作(?)最終章。前2作が素晴らしい作品だったので予備知識を入れずに鑑賞。これが予想通り素晴らしい作品で、個人的には3作の中で1番面白かったです。地元を愛する現場主義の熱い警官であるマーク・ウォルバーグと冷静なエリート捜査官であるケヴィン・ベーコンの2人を中心に、犯人を含む事件関係者の群像劇をリアリティ溢れる演出とドキュメンタリーを思わせるカメラワークで克明に描く。爆発に巻き込まれた被害者を丁寧に描写することで、このテロが如何に残酷で、利己的で、何の意味も持たない事であることが伝わる。命は助かったが足を切断することになったカップル、搬送された病院が違く離れ離れになってしまった父子、そして8歳の男児を含む3人の死者。事件現場を確保するために、その死体を数時間動かせず、足元で横たわる遺体を、ただ見守ることしか出来ない警官。これほどまでに痛ましくシーンがあるだろうか。警官たちの憤りと怒りが伝わる、胸が張り裂けるシーンに涙が止まらなかった。そして主人公含む地元警官とFBI捜査官によるスペシャルチームが捜査するのだが、誰一人として無能な人はおらず、まさに「一丸」となって憎きテロリスト逮捕へ向けて猛進する。この小気味良いほどの捜査シーンから中盤の銃撃シーンまではエンターテイメント性重視の演出が続くが、驚くべきことにほとんどが実話らしい。特に市街地での『ヒート』を思わせるような緊迫感溢れる銃撃戦は「さすがハリウッド!」と思える派手さがあるが、現実も200~300発の銃弾が使用され、複数の〝粗雑な手榴弾〟が使用されたらしい。おそらく住民がトンカチを渡して来たのも実話なのだろう。まさにボストン市民と警官達が一丸となってテロリストに立ち向かったということが伝わる熱い映画。愛国心(パトリオット)というよりは郷土愛の方が強い作品である。傑作。