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パトリオット・デイの東京キネマのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
4.0
丁寧に創ってます。臨場感も半端ないし、テロの残虐性が感情的な憤怒に変化するよう計算してます。

登場人物はトミー巡査部長(マーク・ウォルバーグ)以外は全て実在の人物。要するに、トミーの視線を通して、事件の文脈を整理して再体験してもらうという主旨です。狂言回しですね。なので、この凶悪事件を俯瞰できます。

後半、ほぼ事件が解決する頃、トミーが言います。“悪魔と戦う武器は1つしかない。それは愛だ。悪魔は愛を奪えない。犯人を追い詰めて殺しても傷は癒えない” と。

何〜??? なんと寝惚けたことを! これだからアメリカのリベラルは阿呆だって言われるんだよ。要するに、イスラム教は悪魔だけど、キリスト教には愛がある、とでも言いたい訳? どうもね、途中からこの演説を言いたいがために、ダレ場に突入した感じがしなくもなかったのよね。イスラム教徒を犯人として断定してしまうと、大変なことが起きる、とか、変にきついポリコレを自分に課して、なんかモゾモゾ言ってる感じです。ちなみに、題名の「パトリオット・デイ」は、別に愛国者対テロリストのプロパガンダにしたかったってことではなく、アメリカ独立戦争の発端となったレキシントン・コンコードの戦いを祝う記念日です。要は清教徒のお祭りです。その一環としてボストン・マラソンを開催している訳ですよ。つまり、その当日にテロをするには宗教的意味があったの。だから、なんでその日なのかってのをプロットで解答しなきゃいけなかったんですよ。イスラムのジハードに見せたかった訳ですからね。

でね、結局、真犯人はチェチェン系でイスラムとは全く関係なかったってことが解ったんだから、せめてその情報くらいは入ってないとダメだよね。これじゃ、イスラムのテロだけど、イスラムだから報道できなかったってだけの話になっちゃうじゃないの。。。いい映画だったのになあ。。。変な演説で台無しだよ。。。
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