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パトリオット・デイのchikageのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
3.2

”善は必ず悪に勝つ““悪に勝つのは愛だ“の台詞のように勧善懲悪な見せ方が好きではなかった。

プロパガンダ感も否めないし、
犯人がテロを起こした動機や、その生い立ちについての言及がほとんどないまま話が終わったのも少し残念。

単なる犯罪を悪とするのはまだ理解できるけれど、宗教や思想が絡んだ犯罪を悪とするのはどうなのかとしばしば思う。

アメリカも日本も国を守るために戦争をしたけれど、
その時の兵士は「国のために」「家族のために」彼らにとってそれが善だったから敵を殺したのでは、、?
その時の兵士は国を守ったと英雄視されて、テロ組織は完全に悪だと見做される理由は何なのだろう、、。

もちろん「戦いましょう」という両国の同意なくして、一方的に攻撃をするのは(しかも何の罪もない一般市民)もちろん良くないことだけど、
その攻撃が彼らにとっては大事な人や大事な故郷を守るための愛だとしたら、、?

私はイスラム国を好きなわけでも、支持しているわけでもないけれど、
彼らもただ殺しをしたい人が集まった組織なのではなく、初めは自国で政権を追われた人たちが反発して生まれた組織なのであって、絶対的に悪とするのは何となくモヤモヤするのです、、。
彼らにとっての“悪”とは住む場所、権利、自由、家族を奪ったアメリカや新政権のシーア派なのだろうし、、。

ISには外国人戦士も多くいて、彼らは「故郷を守りたい」「大事な人を守りたい」とはまた違う理由で戦うのだから構造はもっと複雑にはなっているけれど、ISの外国人戦士になった人の多くは社会に不満を抱えてた人が多い。
日本人でISの戦士に加わった鵜澤さんも幼少期にひどいいじめに遭っていたし、この映画の犯人2人もチェチェン系の人物で、過去の出来事をきっかけにアメリカの市民権を得られなかった等の生い立ちがある。
外国人戦士が過激な思想にハマる原因やきっかけに、いじめ・貧困・社会的排除等の問題があることは高確率。

だとすれば本当の”悪“とは何なのでしょうか、、。
果たしてISやテロ組織そのものが”悪“なのでしょうか、、。
”愛は憎しみに勝つ“と言えるのは、有利で且つ余裕がある、言ってしまえば豊かな国だからではないのでしょうか、、。

あゝ、モウワカラナイ、、、。
鈴と小鳥とそれから私、みんなちがって、みんないい、、、。
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