YusukeTaruya

グランド・イリュージョンのYusukeTaruyaのレビュー・感想・評価

グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)
3.0
種明かしのないマジック、最後に至ってはマジックですらない。
チープなCG、現実感0の催眠術、ところどころに散らばめられる全く意味のないシーン、伏線の張り方もど下手。

設定や脚本はずさん極まりなく、おおよそハリウッド映画らしくない。
(恐らく撮影後の編集で色んな所がカットされたからなのだろうけど)
Rotten Tomatoesの評価も49%と酷い。


不思議なことに、それでもこの映画を観た後、心地よい興奮に包まれる。

なぜなら、彼らがフォーカスしている事はただ一つで、「鑑賞者を驚かせること」だからだ。

壮大なスケールの物語はハイテンポで進み、絶えず予想を裏切られる展開が連続する。
迫力のあるカメラワーク、音楽、『ソーシャル・ネットワーク』宜しく早口でまくし立てるジェシーアイゼンバーグをはじめとする俳優たちの名演技がそれに磨きをかける。

この映画は脚本の秀逸さなど捨てている。“つじつま”を合わせようとする気も毛頭ない。
彼らに言わせると、この映画に“完成度“を求めるのはミスダイレクションで、例えば『マッドマックス』やマーベルシネマティックユニバースを観るように、何も考えずにアトラクションを体験する要領で楽しんでほしいのだろうし、エンタメとしてこの映画はなかなか面白い。

もっと純粋に『マジック』を楽しみたい人はクリストファー・ノーランの『プレステージ』を観ることをおすすめします!エンタメ性に欠ける分、脚本の質が違います。
YusukeTaruya

YusukeTaruya