改名した三島こねこ

グランド・イリュージョンの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)
3.9
<概説>

4人のストリートマジシャンが、謎の人物に導かれて結託する。彼等は鮮やかな奇術で資本を盗みだし、民衆に分け与える。4人の奇術の行く末は。そして黒幕の真相とは。

<感想>

「よぉボウズ…知ってるか?怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが…探偵はその跡をみつけてなんくせつける……ただの批評家にすぎねーんだぜ?」

本作を視聴しながらどうしても『名探偵コナン』の怪盗キッドの言葉がリフレインしていました。というのも本作の構造からして、トリックの種暴きというかなり下世話な楽しみ方なのですね。その楽しみ方を見事に成立させたモーガン・フリーマンこそが、本作一の名脇役ではないでしょうか。
というのもモーガン・フリーマンは「彼が出るとモーガン・フリーマンにしか見えない」と言いたくなるほど、顔立ちが温和です。それだけに本作のサディアスという役は意外なほどに嫌な奴でした。しかしあの熟練の風格が、なんとも役にあっている。

しかし彼もまたマジックを愛していたと思うのですよ。種暴きといえば『TRICK』シリーズで度々言及されるハリー・フーディーニが連想されますが、彼がそういったことを生業にしていたのも「真の霊能力者に会いたい」という、言ってしまえば敵対業者の傑物への待望があったからなのですよね。サディアスにおけるその歪んだ願望も、終盤のさりげない言動に滲んでいたように思います。

演者について更に言及しますとジェシー・アイゼンバーグ×ウディ・ハレルソンというコンビですね。最初『ゾンビランド』のオマージュかなと勝手なことを考えていたのですが、最後まで見るとやはりある程度『ゾンビランド』を意識していると思っても仕方ないと思います。あの青っちょろいガキと、胡散臭いクソ親父のキャラが並ぶだけで物語がおもしろくなりますね。

本作は視聴時点で次回作があるのでちょっと下調べしてしまっていました。そのため「ハイハイ読めてる読めてる」なんて斜に構えていたのですが…いやいや最後見事に騙されましたね。まさに「近づけば近づくほどに見えなくなる」です。素晴らしいエンターテインメントでした。