Hiro

グランド・イリュージョンのHiroのレビュー・感想・評価

グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)
4.0
“よく見えていると思う人ほど
騙しやすくなるものだよ。“

そりゃ今時CGを使えば宇宙で戦争が
出来たり、恐竜を甦らせたり、地球に
宇宙人が来て自転車の前かごにだって
乗せられる。なんだって出来てしまう。

それを多く使うほど、”現実には出来
ない”ことは全てCGで処理している
と思ってしまう。それくらい我々は
映画の持つ途方もない技術に”慣れて”
いるのでは?人が培ってきた訓練され
て初めて手に入る”技術”を忘れてはい
けない。“近くで眺めれば眺めるほど
どんどん見えなくなる”。これは作中
での主人公のセリフだが言い得て妙。
人が持つ力は偉大なんだよなあ。

ある夜、ラスベガスで起こった”奇想
天外”な犯罪はFBIの捜査をもって
しても解明不可能だった。主人公を
リーダーとする4人組チームがパリの
銀行の金庫を襲い、300万ユーロもの
札束を消失させてしまう。彗星の如く
現れた彼らの真の目的は何なのか。
あらゆるスキルを”究めた”男女4人が
トリック犯罪を重ねて、”虚構の中の
リアル”を表現する”催眠術無双”物語。

“マジック”という誰もが好奇心を唆られ
先読みを許さない”二転三転”の内容には
用意周到な”謎と伏線”がちりばめられて
いた。騙される快感を伴う“驚愕の結末”
が最後に待ち受けている。作品そのもの
が壮大な”イリュージョン”の如く観る者
を幻惑し陶酔させてやまない内容です。

本作では世界トップクラスのマジシャン
の助けを借りることでほとんど特殊効果
などに頼らず、実際に俳優たちが”訓練”
した本物のマジックを撮影している。

おそらく手品の究極のゴールは大人が失く
した”子供のように”純粋に驚く感性を引き
出すということ。歳を重ね世の中の仕組み
を学ぶうえではこういった”ピュア”な感性
は失われていく。きっとこの作品はそんな
我々を過去の自分に優しく還らせてくれる。

p.s.
”どうしてそうなるのか?”なんて野暮ったい
ことを考えずに楽しみ、純粋にときめくこと
がこの作品を楽しく観るコツだろう。友達や
家族と楽しい時間を過ごしたい。観終わった
後に、あれこれ感想を語りたいのならほんと
この映画は”うってつけ”だよってはなし。
Hiro

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