ちろる

タイニー・ファニチャーのちろるのレビュー・感想・評価

タイニー・ファニチャー(2010年製作の映画)
3.5
お洒落なおうち。
スタイリッシュなアーチストの母親。
そして天才肌の妹。
恐らく環境は恵まれてるのに、周りのせいにして腐ってモラトリアム気質、ついでにダメンズ。
女友達としては最悪ですなってのが第一印象のヒロイン。
だから共感したくないし、応援もしたくはありません。
よくもまぁこんなに魅力的でないキャラクターをヒロインにしたなーとはじめは思いました。
でも少し思うのです。
人生一歩一歩が選択で、全て正解の方に進むわけではない。
その選択肢を間違えてばっかりいることで、何もかもがどうでも良くなることってある。
だからトントン拍子に行けなかったこのオーラの姿を誰もバカにできないと。

多分このままじゃダメだってこと、本人が1番わかっていて、それに気づかないでモラトリアムする自分を敢えて客観的に自分を観察しないようにして何も見えない未来への不安を見ないようにしてるだけ。
そう思うとすごくダメダメに見えたオーラの姿も人間らしく思えてくる。
映画観てるとどうしてもヒロインに劇的な成功やチェンジ期待しちゃうけど、こんなリアリティもたまにはあり。
成功しなくたって、腐ってたって少しだけ一歩進もうとする姿は愛おしいものです。

ちなみに主役、監督、脚本と全てを務めただけあってレナ・ダナムの演技はとても印象深いのですが、
さらに驚く事に妹と母親役、そして友達も実際の人物ということ。
家族間の独特な空気感とかが妙に生々しいのはそういう理由だからなのかな。
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