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タイニー・ファニチャーのatsukiのレビュー・感想・評価

タイニー・ファニチャー(2010年製作の映画)
4.5
あの自慰に耽った後の喪失感が大嫌い。「何やってんだろう…」って。けれど一眠りすれば、またもや始めようとするからどうしようもない。それこそがオーラにとってのモラトリアムの享楽だった。つまり、卒業も、就職も、デートも、同棲も、セックスもしたけど、彼女にオーガズムは訪れない。何故なら"大人にならないこと"こそが、最も求めていたことに違いないのだから!"世界"を見ようとはしない。「Tiny Furniture」で創った"セカイ"に寝転がっていたいのだ。そんなユートピアで母胎内への回帰を目指すが、時計は止まらない。ハムスターの死体を冷凍することで可逆性を持たせる。もちろん上手くはいかない。それはオーラが"世界"を見なければいけなくなるからだ。しかし、見えたのは彼らの"セカイ"でしかなかった。青ざめる画面に鳴り響く『When You Come Home』は誰からの言葉か。
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