踊る猫

ハンナ・アーレントの踊る猫のレビュー・感想・評価

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)
3.5
ハンナ・アーレントがイスラエルでのアイヒマンの裁判について執筆する過程を描いた「フィクション」。個人的にはどうしてももやもやするものを感じてしまった。ショットの美しさで魅せる映画でもないし、筋立てもさほど面白くないのだけれどラスト・シーンでハンナ・アーレントが演説するシーンが胸を打つ。思索し続けることによってこそ人は強くなる……そうしたメッセージは確かに貴重なものではあるし、映画の流れの中で観れば説得力があるのだけれど逆に言えば言葉に多くを依存し過ぎているような、そんな気がするのだ。とはいえアーレントの鉄より固い意志によって己の信念を曲げず、誹謗・中傷にもめげずに自分の発言を貫き通すその強さは確かに伝わって来る。それ故に何かが「惜しい」映画だと思った。
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