スローモーション男

赫い髪の女のスローモーション男のネタバレレビュー・内容・結末

赫い髪の女(1979年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

 今のところ神代辰巳作品ベストです!
いや、日活ロマンポルノ映画でいちばん好きかもしれない。

港町にふらりとやって来た赤い髪の女。土カチンの男と出会い性に溺れながらも愛を分かち合っていく。

 さぁまずオープニングでトンネルの向こうから赤い髪の女がこちらへ歩いてくる。
ハイヒールのコツコツという音と共に、ブルースバンドの憂歌団の「どてらな女」がかかる。そして愛し合う男のトラックが横切り静止画に。そこでタイトルクレジット。
この時点で、満点付けようかと思いましたw
 
 それから石橋蓮司演じる男と宮下順子演じる女が古いアパートの部屋でひたすらSEXをするという展開と、阿藤快演じる同僚の男と亜湖演じるふらりと現れた女の若い男女のSEXが交互に見せられるというだけの話に。
 それなのにまったく飽きません。というか濡れ場ひとつひとつが凄いです。
 はっきり言うと今は女性蔑視の問題などによりできません。石橋蓮司が宮下順子を性奴隷のように扱い、殴るし罵倒するし、それなのに女は快感を感じる。

でもこれに僕は感動してしまった。
なぜだかは分からないが、感動したのです。
こんな、愛があるのかと。

sexのときは暴力的なのに、普段は本当に楽しそうな2人がいる。笑いあって、茶化しあって、泣きあうのです。

それなのに男は同僚にやらせてくれと頼まれ、無理やり強姦させる。女は号泣し「亭主のほうが良かった!」と叫ぶが結局感じてしまう。
男も雨の降る道端で自慰をし始め、終いには他の女としてしまう。
お互い変態なのに最後には別れられないという宿命が待っている…。

つらつらと書きましたが、こんなことを思ってました❗
あとこの映画は「音」が素晴らしい。
波の音、大雨の音、風の音、下の階のシャブ漬けカップルの夜這い声の音、トラックの音
それにより田舎町のノスタルジックな雰囲気が漂う。

ラストシーンなんかはもう凄いんですよ!!!
どう考えてもアンハッピーなのに、憂歌団の「出直しブルース」のせいでめっちゃハッピーエンドに終わってます!!
それと同時にこの二人を愛してしまってます。もうなんにでもなれという感じです。

神代辰巳の恐ろしさに驚愕しました。
そして石橋蓮司と宮下順子のエロチックな美と愛に感動しました。
ありがとう。