ひでやん

あの頃、君を追いかけたのひでやんのレビュー・感想・評価

あの頃、君を追いかけた(2011年製作の映画)
4.2
問題児と優等生の甘酸っぱい青春ラブストーリー。

あいつもこいつもあの席をただ一つねらっているんだよ。このクラスで一番の美人の…前に座った主人公。勉強嫌いな問題児が、好きな女の子のために勉強に励むというベタなストーリーで、のっけから下ネタ満載。主役を取り巻く仲間たちは絵に描いたようなキャラ立ちで、昔のギャグ漫画を思わせるノリである。

このノリにどこまでついていけるか不安になったが、あまりにも青春のド真ん中を突き進んでいくものだから気持ちが良い。北斗の拳、スラムダンク、ドラゴンボール、はじめの一歩など、日常にあふれる日本文化が嬉しい。コートンと愉快な仲間たちはやりたい放題で、若気が至りまくっている。そんな彼らを見て思い出すのは、忘れかけていたあの頃…。

教室で悪ふざけ、海で大はしゃぎ、卒業と旅立ち、成功と挫折、青春っていいな…。背中に付いた青いつんつん、距離を縮めた教科書、丸坊主に応えたポニーテール、心を繋いだ長電話、青春っていいな…。

気持ちを伝える勇気があるのに、返事を訊けない臆病者。心の強さが必要なのに、喧嘩の強さを誇りと思う愚か者。一途に追いかけ続けたのに、離れた心を追わない大馬鹿者。男ってバカだな…。

大人の階段をじゃんけんグリコで上ったとしたら、女は「パイナツプル」で駆け上がるのに、男はいつも「グリコ」で上がるような成長速度。いつまで経っても男は幼稚で、女は大人になっていく。

チアイーを演じたミシェル・チェンがとにかく可愛くて、目が釘付け。笑顔も泣き顔も怒り顔も、何をやっても可愛くて仕方なかった。

選ばなかったいくつもの道、タラレバを言うとキリがない。きっと別の世界線にも後悔はあるから、過去を悔やんでも仕方ない。自分で選んで自分で決めて、数え切れない選択の結果が今であり、今は過去の集大成。そんなふうに思いたくなるラスト10分だった。
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