唯

あの頃、君を追いかけたの唯のレビュー・感想・評価

あの頃、君を追いかけた(2011年製作の映画)
5.0
1994年、16歳の男子高校生・コートン。
退屈な高校生活の暇潰しに授業中に抜くという暴挙に出ると、監視のために優等生・チアイーの前の席にさせられる。
男子は皆チアイーが好きだが、コートンは彼女に興味なし。

問題児と優等生という古典的なカップリングに、きゅん!
優等生は、その生真面目さから問題児を放っておけないし、問題児は自分と距離を置く大多数とは異なる優等生が何だか気になっちゃうのよねえ。

教科書を忘れたチアイーにさっと教科書を渡し、自分が身代わりになるコートン。
この、さりげない優しさが人の心を打つんです!
んでもって、そこには「真面目ぶってなきゃ正直チアイーは可愛い」の落書きがあって、それにほくそ笑むチアイー。

「私が軽蔑するのは、自分は努力してないのに人の努力を馬鹿にする人」
そうして、コートンに勉強を教え始めるチアイー。
夜まで2人で自習したり、髪型を賭けてテストで勝負したりしつつ、距離を縮めて行く2人。
コートンの勉強にも熱が入り始める。

テストで勝ったのにポニーテールにして来るチアイーに見惚れる男子5人。
こんな青春欲しかった!!

教師の言いなりになって機嫌を取って来たチアイーだが、教師の理不尽に初めて反抗する。
コートンとの関わりによって、彼女もまた少なからず影響を受けて、一歩外に踏み出してみる。

「凄い人間になる。俺がいると世界が少しだけ変わる様な人間」
退屈な学校生活も、海も、夢の語り合いも、受験も卒業も、とにかく青春極まりない。
「俺の世界は君が決める」
入試に落ちて泣いているチアイーにTシャツを脱いで貸すコートン!
「チアイー、あんまりすぐに彼氏を作らないでくれ」
不器用と優しさの最強タッグを持ち合わせているコートン。
しかし、それぞれの道へと歩み始める。

大学に入って離れ離れになるが、毎晩電話をする2人。
好きな子の前で臆病になっちゃう、から、恋は進展しない。
告白するのに、チアイーも返事をしたいのに振られると思い込んで返事を聞かない…こんなにもチャンスを与えているのにーーーーーーーーーーーー。

「あなたが好きになったのは想像の中の私じゃない?」
「妄想は下手だ」

コートンはさ、努力の方向を間違えてるのよね。
殴り合いで男になろうとするも、その幼稚さをチアイーは受け容れられない。
優等生と問題児は惹かれ合うけれど、根っこのところで相容れなかったりする。

チアイーは、同級生の優秀はアハと付き合い始めるも、5ヶ月で破局。
コートンの幼稚さを懐かしみ恋しく思うチアイー。

1999年、台北で地震があり、2年振りに電話する2人。
「パラレルワールドって信じるか?そこでは俺達付き合ってるかもな」
「羨ましい」
もしもの話を交し合う2人は、もう完全に別の道を歩んでいる。
成就したらというもしもに想いを馳せつつも、既に2人の未来がないことを受け容れてしまっている。
「俺も君が好きだった俺が好きだ」
懐かしい過去と化しているのだ。

「結局夢を叶えるのは、才能のある者じゃなくて最後まで諦めないやつだ」

2005年、チアイーが結婚。
「あなたほど好きでいてくれる人はもういないかもしれない」
どれだけ互いに想っていても、やりきれないけど、全てはタイミング。

「キスしたいならまず俺としろ」と言う花婿。
皆が尻込みする中、一人だけ花婿に熱烈キスをかますコートン。
最後まで貫く幼稚さ、好きな人のためなら馬鹿になれる信念。
その、最後の証明。

一線を引いて割り切るところは誰よりも大人だけど、もっと無様に格好悪く、欲しいものは絶対に手に入れるって手を伸ばしてよ。

三枚目っぽいのに、あくのないスマートなイケメン顔のコートンが好き。
ランタンは一回は飛ばしたい。
唯