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あの頃、君を追いかけたのsのレビュー・感想・評価

あの頃、君を追いかけた(2011年製作の映画)
3.5
高校は女子校だったからこういう青春映画を観て思い出すのはいつだって中学生の記憶だ。毎朝ベランダから先輩が登校するのを見て友達とキャーキャー言って騒いだり、先輩を見れるのが嬉しくて全校集会の日はちゃんと髪をセットしたり。先輩のクラスの前を通るとき、理科室や美術室の前、放課後のサッカーグラウンド。お互いの時間割を交換したり、本当に馬鹿みたいに意識していたあの頃。
だからこそコートンがチアイーのポニーテール姿を見たときのあの顔が当時の純粋な自分と重なり、何の濁りも混じり気もない、純粋に恋をしているというあのドキドキに近いものが記憶として蘇ってきた。放課後、学校の裏で待ち合わせてただ一緒に帰るだけで幸せだったあの頃。あのドキドキと同じ、あるいはそれ以上の感情を味わうことはもう二度とないのだろう。
事実、コートンが勉強を頑張れたのも自分自身を見つめ直し前に進むことができたのも、全部チアイーがいたから、チアイーのことが好きだからだ。純粋な恋には人生を180度変えてしまうくらい強いパワーがある。
ラストの結婚式でのキスシーンのシークエンスは、コートンがチアイーに対して溜めていた、“あの頃、君を追いかけた”何十年もの想いが溢れていて、それは画面からこぼれ落ちてしまうのではと思うほどに強い愛だった。
一年付き合って、なんとなくな感じで別れてしまって先輩は卒業、私もやっと高校生になった5月に電車でばったり会った日のことは一生忘れないだろうし、過去美化なんて安くさい魔法をかけなくても良い、たとえ叶わなかった恋でも、胸を張ってあなたが青春でしたと言える人が一人いたことがどれだけ自分を成長させたことか。他人から見たら過去の遺物でしかないけれど、ふとした瞬間に思い出す小さな幸せに今の自分は生かされていると思いたい。
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