のんchan

アカシアの通る道ののんchanのレビュー・感想・評価

アカシアの通る道(2011年製作の映画)
4.2
アルゼンチン映画は無条件で飛びつく私。
なので、少し贔屓目あるかな?
でもとても胸が熱くなりますよこの作品🌟

変な言い方だけど、登場人物はほぼ2.5人
長距離トラックの運転手をしている男とそのトラックに5ヶ月の赤ちゃん(女の子だけど顔がジャニーズの村上信五にそっくりで笑っちゃう)を連れて乗り込んでくる女のみ。

木材を沢山積んで長距離移動する大型トラック。男は運転歴30年というが、無骨で愛想はなく無口。アラフィフでしょうね。
ある日、上司から頼まれて、上司の知り合いの女をパラグアイからアルゼンチンのブエノスアイレスへ同乗させる。

待ち合わせ場所で停車していると、大荷物を持ち胸には赤ちゃんを抱いたアラサー?の女がやって来る。

お互い全く喋らず、ずーっと車を走らせる。本当にこの映画、これで成り立つの?大丈夫?特段美男、美女でないのに...と余計な邪念が頭の中を巡る。というか、何も喋らないから...
ようやく、名前を聞く。家族は?とかそれくらいしか話さない。
途中、赤ちゃんがお腹空かせて泣き喚く。
休憩を取りミルクを飲ませオムツを変え、また走らせる。

時間でいうと1泊2日程度なのだろう。途中トラック内で仮眠を取る。

男は家族は無い。と言った後に息子が1人と言う。それだけ。道中、妹の家に2ヶ月前だった誕生日プレゼントを渡すが、そこで妹がちゃんといるのだなと気付く。

女は途中、母親に電話を掛けて涙を流す。
ブエノスアイレスへは従姉妹を頼って、仕事を斡旋してもらう予定だと言う。

お互いに相手の見えない部分を探りながら、赤ちゃんの機嫌で会話をせざるを得なくなる。村上信五似の赤ちゃんがキューピッド👼になる。
無骨な男だけど赤ちゃんをあやす、ふと見せる優しさがとても良い。

最後には女を従姉妹の家まで送り届ける。そこには大勢の家族が迎えに出て来る。

話はそれで終わる。
あらら、あり得ないでしょう‼️


でもその別れ際がとてもとても良いの💗
男は女に言う。
『来週、◯◯(地名)へ行く。きっと景色が素晴らしいと思う。一緒に行かないか?』
女は微笑み『いいわね。電話して』と言う。

ジ・エンド



なんの起伏もない、ただただ低生活者の2日間。でも自然な僅かな感情をうまく表している。会話の間や窓の外の景色などの映し方が巧い。だから見ていて全然飽きない。表情や目の優しさが、始めの印象とラストでは全く違って見えてくる。
無名の俳優、そしてそれこそ『存在のない子供たち』でも驚いたけど、演じる事など不可能な数ヶ月の赤ちゃんを使う事によって、観る側の感情が動かされる。
これは名作級かも知れない💫
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