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そして光ありきのギルドのレビュー・感想・評価

そして光ありき(1989年製作の映画)
3.9
【産業革新が齎す人間の流動性と組織の形骸化】
■あらすじ
セネガルの森に住むディオラ族。男たちは川で洗濯をし、女たちは弓矢で鹿を狩って暮らしている。女祈祷師のバディニャ、狩人の女ゼズヴェ、そして、怠け者の夫ストゥラと別れ、3人の子どもを連れて再婚するオコノロなど、それぞれの日常が繰り広げられている。しかしその一方で、白人たちによる森林伐採が進み、彼らの暮らす村にも危機が迫っていた。 ディオラ族の牧歌的な生活と、産業により文化が侵食されていく様を寓話的に描いた。1989年・第46回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞。日本では2023年2月、「オタール・イオセリアーニ映画祭 ジョージア、そしてパリ」にて劇場初公開。


■みどころ
牧歌的な営みが続く村に侵食し始める伐採機と産業のお話。
コミュニティがシステム・ルールによって統率が取られている事を如実に現していて、村の慣習より巨大なシステムで人間の流動性も慣習の形骸化・観光化に変遷するのが印象的。

産業の侵食を絶対悪として捉えずに、産業の利便性が人の流動性を産み出していく良さ・慣習を守る人々がいつの間にか社会のシステムに順応せざるを得ない生きづらさにも発展していくのが興味深い。
文化を形成していくのは人間であり、人間を順応するには文化・慣習・組織が求められる。
が、そこよりも便利で快適な文化・慣習を目の前にこれまで縛られていたものから緩みが発生し、流動的になっていく。
産業革新というシステムに対するゲームチェンジャーで男女の役割も衣食住も思想・信条も変わるのを鋭く描く佳作でした。

声高に産業が文化を破壊する趣旨ではなく、むしろ牧歌的な村の営みが無限に観れる一方でカメラワークで結構残酷な事やってるのが印象的でした。
同じカメラワークで村の変遷の変わり果てた姿を見せたりカットしてすぐに木が伐採されたり…こわすぎる。
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