ゴミ。
我々が戦争を描いた映画に求めることは、実は少ない。どうせ戦争の醜さだの悲惨さだのを描くのは分かり切ったことなのだから、もはや見るべきところはじゃあそれをどう描くかに限られてくる。
それを踏まえた上で、この映画はどうか。モキュメンタリーであるという前提でリアリティに力を注いだのはわかるが、結局ただただ基地の中で延々クソみたいに中身のない会話をしてるクソバカアメリカ兵を延々とクソみたいな画質のハンディカムで映した、クソ映画でしかない。
途中の作戦やレイプシーン、虐殺場面も、だからなんだというような「脅かし」にしかなってないし、何ら心を動かされるものはない。
正直いって、アメリカ兵が何人死のうが、民間人が何人レイプされて虐殺されようが、こちとら知ったこっちゃない。何年か前にどっかのテロリストどもがビデオの中で「ジャパニー」と言ったか否かで大騒ぎする、平和ボケした我が国の人間なら尚更だ。ああ大変だなあ、としか言いようがない。対岸の、さらにそのまた何千キロも向こうの火事なのだ。
残酷な虐殺ビデオなんか、ネットを探せばいくらでもあるし、そういったイメージが我々に与えるインパクトは計り知れないが、だからといってどうこうする話でもない。ましてや、こうやって最初に「フィクションですよ」と宣言された映画の中の安っぽいクソみたいな残酷映像なんかを観ても、下手な特殊メイクにしか意識が行かないに決まってる。
で、挙句の果てに現実の民間人の死体写真を、いかにも悲劇的なプッチーニの「トスカ」の曲と一緒に流す感性がマジで最悪。結局、散々フィクションを見せておきながら最後に実際の写真を見せるっていう、「戦場でワルツを」みたいな逃げっていうだけでなく、安直に「悲劇的」にする人間性。
デ・パルマという人がいかに偽善者かよくわかる。虫唾が走った。