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昼顔のKKMXのレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
3.0
初ブニュエルでしたが、うーん、いまいちピンときませんでした。変態作家と名高いブニュエル、リンチ好きの自分とは絶対相性いいだろうな〜なんて想像していたのですが、所詮は予測にすぎませんねぇ。


オープニングはサイコーでした!赤の衣装をお召しになった上品な美女・セブリーヌが夫と御者に捕らえられてムチ打たれ、しかもセブリーヌは妖しい吐息っぽい声を上げるッッ!
この倒錯的なエロ・ファンタジーで始まる本作に対して、
「これは大変エロいガーエーがおっぱじまりますよ〜!」
とワクワクしていましたが、ここがピークでした。

性的な願望を抑圧して不感症のようになっている夫人・セブリーヌが、自分を解放するために娼婦になるというストーリーです。そもそも設定からして当時にしても古いですよね。フロイトが現役時代の20世紀初頭ならばリアルな気もしますが、本作1967年でしょ。
セブリーヌは夫を愛しながらも裏切るという葛藤があるのですが、夫への愛が書き割りっぽいのであまり伝わってこない。
後半の重要人物であるチンピラ・マルセルのキャラ造形も凡庸でフーンって感じ。後半の展開も、そんな風に生きてりゃそうなるわな、としか思えず冷めておりました。ラストの妄想も都合いいなぁ〜。
自分を生きれていない主人公が自分を生きようとする変容の物語の姿を借りた、ただの三文小説の映画化って印象です。


ただ、ディテールは良かったです。セブリーヌの客たちのしょうもねえキャラ造形はどれも可笑しく、バカっぽいです。ネクロフェチの公爵、アイツなんなんだよ!朝青龍みたいな客も笑いました。

あと、主演のカトリーヌ・ドヌーヴが妖艶で素晴らしかったです。肉感的なセクシーさとは違う、品位と倒錯のセクシーがツボです。金髪が素晴らしくゴージャスで、夜会巻きも色っぽかった。ロシュフォールの恋人たちの時はぜんぜん色気を感じなかったので、トップ女優ってスゲーなぁと改めて感心した次第です。
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