アキラナウェイ

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.7
NetflixとAmazonプライム・ビデオが我が家の映画鑑賞二大巨塔。貧乏性のワタクシはコスパで考えてアマプラよりネトフリを観ないと損だと思い、専らネトフリを掘り起こす方が多い。しかし、たまにはアマプラも…と掘り起こしていると、掘り出しモンあった〜!!

エル・ファニング(妖精)の主演作〜!!
観るー!!駄作でもいい!!観るッ!!

1945年、広島に原爆が落とされた年にロンドンで生を受けた2人の少女。ジンジャー(エル・ファニング)とローザ(アリス・イングラート)は片時も離れない親友同士だった。やがてジンジャーは反核運動に目覚め、ローザは次第に性に奔放になっていく。擦れ違っていく彼女達のその果ては——。

空に立ち込めるキノコ雲。
全てを焼き尽くされた広島の瓦礫跡。
ただならぬ気配で幕を開ける2人の少女の物語。

ジンジャーとローザが何せ微笑ましい。
エル・ファニング、可愛い!!

箸が転げても可笑しい年頃とはよく言ったもので。
無邪気に笑う彼女達を見ていると画面越しのこちらの頬も緩む。

ジーンズを縮ませる為に着衣のままバスタブに浸かる2人。下着に色落ちした様子を見て、また笑う。

ずっとずっとこのままだと思っていたのに。

以下、ネタバレ含みます。















いつも口喧しく叱るばかりの母ナタリー。
父とは呼ばせない、自由人の父ローランド。
ジンジャーの両親の夫婦仲は日に日に悪くなっていく。

やがてローランドとローザの距離が縮まっていく。

胸を掻きむしられる。

隣の部屋からローザの喘ぎ声が聞こえてくる。

ジンジャーはただ枕を被って耳を塞ぐのが精一杯。

親友と父との秘密。
怒り、戸惑い、嫌悪、混濁した感情を抱え、彼女は核による世界の終わりを信じ込み、反核運動により傾倒していく。

エル・ファニングの演技が素晴らしい。

ジンジャーが抱えてしまった秘密。
「絶対に言えない」
「言えば、私が爆発する」
核戦争による人類滅亡の恐怖と、抱えきれない秘密に蝕まれる幼気(いたいけ)な少女の心が爆発する瞬間を見事に演じている。

この、核戦争と少女の心とを重ねた描写は俊逸。

そして、エル・ファニングの泣きの演技に度肝を抜かれる。

副題で「さよなら、わたしが愛した世界」とあるが、これはミスリード。付けなくていい副題。

最終的に彼女は全てを許すのだ。
ならば、さよならではない。
わたしが愛した世界と決別するのではなく、受け入れていく。

詩を愛し、人類の平和を夢見た少女は、目の前の困難も人々も許す力を備えていた。

殊更に目を惹くプロットではないものの、エル・ファニングの演技で最後まで引き込まれる秀作。





それにしても可愛かったなぁ。