レオ

リアリティのダンスのレオのレビュー・感想・評価

リアリティのダンス(2013年製作の映画)
4.8
何も予備知識なく観ました。最初つらく感じ、やめようかと思ってしまったのですが、最後まで観てよかったです。しばらく涙がとまりませんでした。 

主人公とそのお父さんの事が、自分は何だかよく知っていて、かつてそうだったことを一度死に、思い返しているような気持ちにもなりました。
今、縁ある家族とか周りの人に、泣いて抱きつきたい、謝りたい、そんな気持ちになりました。

最初に出てくる少年の話だとばかり思っていましたが、物語が進んでいくにつれ、高圧的なお父さんの話でもありました。
少年の、性について揶揄され恥ずかしく死にたく思う気持ち、人の死体を見て心に死と怖さがあふれる様子など、その年代の心の揺れや動きが分かると思いました。

虐待のようなしつけをしていたお父さんが、話が進むに連れて、時代や社会のせいもあること。街や人から、そう強くあらねばやっていけなかったような様子もとても伝わってきました。また、等身大の男性のずるさみたいなもの、志には命をかけるような理想を追うような姿も、どちらもとても分かるように、心に入ってきました。

監督が、少年時代の自分を見守り、支え、導く。家族の本来の魂に出会う。
心理療法のようでもありました。

寺山修司さんの映像世界に似ているように感じたのですが、後で調べたら、天井桟敷の人々など、沢山の芸術の影響の中にいるすごい方なのですね。
映画の中の役者さんが、御子息だとも読み、ほっと救われました。
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