benno

リアリティのダンスのbennoのレビュー・感想・評価

リアリティのダンス(2013年製作の映画)
4.3
カルト映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーの少年時代の自伝的映画。

ユダヤ人であるという疎外感を抱き…強迫的な父親に怯え…トコピージャという町の人々に慰められ…迷信的で台詞がすべてオペラ調のヘンテコな母親に育てられたアレハンドロ少年。

リアリティとシュールなファンタジーが交錯した摩訶不思議な世界観…大人の寓話のような…確信犯的に視覚的なエログロ描写がてんこ盛りなので、くれぐれもお子様には、お観せにならぬよう!

特に笑えたのが、アレハンドロ少年が夜ひとりで眠れない時、母親は「闇も神の一部だから…」と言い、少年を靴墨で真っ黒に…おまけに母親もマッパになり、暗闇の中ふたりはかくれんぼ!そして「ママ、みっけー!」母親も真っ黒になり…ふたりでクルクル回ります。
なんだ、なんだ…の展開に目が離せません。
まだまだ、語れないエピソードは盛り沢山です。
荒唐無稽に見えますが、純粋な人間愛や家族愛を汲み取れます。

後半は、これまで神を否定してきた無神論者の父親が、聖者と出会い心を開放します。

ホドロフスキー監督自身は「私は神を信じていません。知っているからです。」と語っています。

そして、ラスト…これまでの過去と決別!
埠頭から離れていく船…その埠頭には、これまで出会った人たちの中に、ひとりアレハンドロ少年が…
benno

benno