アキラナウェイ

セブン・サイコパスのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

セブン・サイコパス(2012年製作の映画)
3.6
帯に短し襷(たすき)に長し。
面白いかと言えばそこまででもなく、
面白くないかと言えばそこまででもない。
嫌いじゃないけどなー。

「スリー・ビルボード」の監督と聞いて、ある意味納得。この先どうなるのかを予想させない脚本は相通じるものを感じるけど、洗練されてはおらず、ちょっと色々詰め込み過ぎ。

ハリウッド。新作映画「セブン・サイコパス」の執筆が思う様に進まないマーティ(コリン・ファレル)に協力する為、親友のビリー(サム・ロックウェル)はネタ集めの為に「サイコパス募集」の新聞広告を掲載する。

サイコパスが集い、騒動に巻き込まれる脚本家の不運を描くクライムコメディ。

あらすじを書いてみて、何だこの違和感は!?

結局、新聞広告を見て集まったのは1人なんだよね…。

サイコパスは、実在の人物も、脚本でしか存在しない人物もごちゃ混ぜで、ナンバリングされているものの7人というインパクトに欠ける。ダブルカウントになっているキャラもいるし…。

「サイコパス集合」の新聞広告で騒動が起きる訳ではなく、ビリーとハンス(クリストファー・ウォーケン)が手を染める、迷子犬詐欺(飼い犬を誘拐して、見つけたと謝礼金を受け取る手口)で、ウディ・ハレルソン演じるマフィアのボスの愛犬を誘拐した事でストーリーが展開していく。

新聞広告を掲載しなくてもストーリーが成立しちゃうのが難点。この辺りの雑さが作品として精彩を欠く。

とは言え、何から何までダメな訳ではない。

マーティの執筆の一助になればと、ビリーとハンスが脚本を考える様子が楽しい。地獄の果てまで追ってくるクエーカー教徒(キリスト教の一派)の話や、シリアルキラー殺しのザカリア(トム・ウェイツ)の話、ベトナム人僧侶の焼身自殺等、劇中劇で描かれる短編集的な挿話は面白い。

あ、忘れるとこだった!
序盤でマイケル・ピットとマイケル・スタールバーグが出て来て、「大好きな人達やん!」とテンションが上がった所で、呆気なく退場。

いいよ、この贅沢なキャスティングの無駄遣い感。
嫌いじゃない!!

キャストは皆んな、キャラが濃くて楽しめたけど、やっぱりサム・ロックウェルが1番でしょう。

目が笑っていないアブナイ感じとか、
可愛い犬の被り物が似合い過ぎたりとか、
最後の決闘のテンションの上がり方とか、
無邪気なサイコパス役がぴったり!

好きな要素も沢山あるけど、
脚本がごちゃついていて勿体ない。

帯に短し襷(たすき)に長し。

…の、ちょっと好き。