みやっち

男たちの挽歌 IIのみやっちのレビュー・感想・評価

男たちの挽歌 II(1987年製作の映画)
4.2
前作から引き続いての2作目。
普通続編はダメになるもんだが本作は
もりもりのパワーアップ。

ある意味「義理人情」という欧米人には
分かりにくい感情が凝縮されている作品。
欧米人にもそうした絆の考えはあるが、アジア人
のそれはもう少し湿っぽく、強固なものに思える。
特に中国人は民族的な団結力が固く、それは一族
や仲間意識という点で世界の中でも群を抜いている。
世界中に華僑が散らばる彼等ならではの結束なのだ。

前半にケンが働く中華店で「米」のエピソードが
あるが、アジアを下に見るハリウッドへの強烈な
アンチテーゼとも思える。
ルンさんが精神崩壊中によだれを垂らしながら
食べ物を口に押し込むシーンがあり、ジャッキー
チェン映画でもよく見るが中国・香港映画の食事
シーンはお世辞にも綺麗とは言えない(笑)
ただその喰いっぷりは生命のしぶとさを感じる。

義により己の命を省みず死を賭して戦う。
個人主義の欧米人には理解されにくい感情では
あるがそれが今作の真骨頂なのである。
最終バトルではうじゃうじゃ湧き出る敵を瞬殺
し、自分も何発か喰らっているのだが精神が肉体を
凌駕しているので目的遂行まで決して死なない(笑)
「最後は悪が勝つとでも思っていたのか?」という
ルンさんのセリフがカッコいい。

ホーの日本刀さばきやケンと殺し屋のサシの勝負
といい見所いっぱい。日本がVシネマでヤクザ物を
大量生産しても今作には敵わないな。
作品のメッセージ性が極端に違う。汗とよだれと
血しぶきと涙、体中の体液を使って振り絞るような
感情の発露はすごい描写。
みやっち

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