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私の、息子のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

私の、息子(2013年製作の映画)
4.0
事故を起こした息子のために奔走する母。過保護から逃れようともがく、自立できない息子。心震わす感動の結末とは―ルーマニアに住むセレブリティ、コルネリアの悩みは、30歳を過ぎても自立しない一人息子バルブのこと。社交界の名士が集うコルネリアの誕生パーティにも顔を出さず、会えば悪態をつくばかりのバルブの態度や、彼の恋人でシングルマザーのカルメンへの不満など、コルネリアの愚痴は溜まるばかり。そんなある日、思いがけない知らせが入る。バルブが交通事故を起こし、子供を死なせてしまったのだ。警察署に急行したコルネリアは、憔悴しきったバルブを目にする。コルネリアはバルブに不利な証言をさせまいと、取り調べの場を仕切り、陳述書を無理やり変えて担当警官の怒りを買うが、警察上部にコネのある彼女に地元警察は逆らうことが出来ない。コルネリアは息子を救いたい一心で、あらゆる手段に訴えていくのだが。自分を粗末に扱う半人前の息子なのにいつまでも過保護に接してしまう母と母に感謝せず底抜けに甘えている息子のある交通事故をきっかけに狂っていく顛末をドキュメンタリータッチで描いていて、母が息子を守る一心で息子が書く陳述書に嘘を書かせようとしたり息子の言いなりに甘やかしたり警察に圧力を掛ける度を越えた過保護ぶりを通してセレブの偽善や貧富の差を批判した傑作映画です。母も息子も真っ直ぐ自分の人生に向き合っていない。問題に向き合って解決することを学んでこなかった結果を適格に表現した傑作です。
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