Melko

キッチン・ストーリーのMelkoのレビュー・感想・評価

キッチン・ストーリー(2003年製作の映画)
3.8
おじいちゃんとおじさんの、静かな静かな数日間の交流の物語。

これぞ北欧映画!!というような、色彩の乏しい画、極力排除したセリフ、登場人物の表情に任せる感情表現、出来事の進展のみを追う構成。

独身男性の台所事情を観察するのだ!の名目の元、観察しにやってきた調査員おじさんフォルケと、観察されることになったおじいちゃんイザック。
無言の攻防、どちらかが喋ったら負けのシュールなコントのような前半から、ほんの些細なことがきっかけで雪解け、打ち解けお互いのことを話し、会話に花を咲かせ、仲良くしていることが上司にバレないようヒヤヒヤする中盤、突然訪れる別れの終盤にあっけない展開、そして、それまでの凍てつく冬の寒さから解放され、新たな生活が垣間見える春が一瞬映って、終わり。

ほっこりな終わり方だけど、イザックの友達が本気でフォルケを殺そうとしたことが気にかかる。そこは果たして雪解けできるのだろうか。

思い立ったが吉日。この言葉に尽きる。
同僚は興奮しながら「会話を交わさなければ分からない」と言っていたが、ホントにそう。黙っていては分からない。分かり合えない。お互い詳しく身の上は語らずとも、話してみれば分かり合えることがある。嫌われてもいいじゃないか。とにかく、話してみよう。

いつだって、温かいコーヒーは、アイスブレイクしてくれる。これだからコーヒー党はやめられない。冷たいミルクでサンドイッチを流し込むのではなく、一緒にコーヒーを飲もう。

硬そうなチョコが美味しそう。

高い椅子に座って見下ろすのではなく、そこから降りて、同じテーブルを囲み、酒を酌み交わし、誕生日を一緒に祝おう。
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