カズナリマン

スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団のカズナリマンのレビュー・感想・評価

4.3
2010年代の、ブレイク前スターてんこもりムービー!

いつの時代にも、次世代スターが脇役で紛れ込む映画がありますが、ここ10年で自分の記憶に一番残っている「ブレイク前スターてんこもりムービー」(以下ブレ前映画)は
「スコット・ピルグリム vs 邪悪な元カレ軍団」なり!
アメリカでは2010年、日本では2011年に渋谷シネクイントあたりで地味に公開され、渋谷のアメリ系映画ファンには軽くスルーされた映画です。
この「スコット・ピルグリム」、実は向こうでけっこう人気あるティーンコミックで、映画化された時は注目を集めました。監督は「ショーンオブザデッド」「ホットファズ」でサイモンペグ、ニックフロストを世界に紹介した、イギリスのパロディ王子、エドガーライト。

◯その破天荒なストーリーは…
カナダのトロント。アングラバンドのベーシスト、スコットピルグリムはNYから引っ越してきたラモーナに一目惚れ。そんなスコットの前に、次々と現れるラモーナの邪悪な元カレ(彼女)たち!ラモーナはスコットに「自分と付き合うには、彼らを全員倒さないとダメ」と告げる。かくして、スコットと邪悪な元カレ軍団との対決が始まった!!

コミックのぶっ飛んだ世界観を洗練され過ぎたスタイリッシュ感で描き、けっこう僕はお気に入りなのですが、アメリカでは微妙なヒット。その理由はおそらくエドガーライトにやりたい放題させてしまったこと…。だからこんなに面白いのになあ!会話のリズムから、ケータイ世代のカルチャーギャグや、ズレズレな価値観など、若いエドガーライトだからこそ表現できた貴重で、後世に残るエンタメだと思います。もちろん、「バカバカしい」で済まされたら終わりなのですが…

◯本作公開時の代表キャストは以下の通り
・主演は「ジュノ」(とその他青春ものにけっこう主演してた)のマイケル・セラ!
・ヒロインは「ファイナルデッドコースター」「デス・プルーフ」のオタク引力保持者、メアリー・エリザベス・ウィンステッド!
・ゲストスターはウェス組、ジェイソン・シュワルツマン!

まあ、確かに地味です。ただ当時マイケルセラは「ジュノ」だけでなく大ヒットを飛ばした「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(エマストーン輝いてます!)に「キミに逢えたら!」なんかで、ティーン俳優No.1の座をほしいままにしてましたから、ズバリなキャスティングでした。メアリーはダイハードシリーズでジョンマクレーンの娘役も決まっていたでしょうし、素晴らしい買い時だったに違いありません。
しかし、驚くべきはここからのキャストラインナップです!(はあ、やっと本題)
実際見ていただけると、もっと「うそ!!」って感じで驚けますが、若手演技派、次世代スターがちょい役でどんどん登場。どの役もこのコミックの世界観に馴染んだエキセントリックさ!彼らの存在感、演技力がいかんなく発揮されており、その演技をみて他の作品が決まったひともいたでしょう。
自分はこの映画から数年。いろんな映画を観るたび、「あれ、この人どこかで…あ、スコットピルグリムの!!」と幾度も坊主の南妙法蓮華経のようにリピートすることになるわけです。そしてそれがある度、本作を見返して「やーこん時から俺はわかっていたよ」なんてしょーもない悦に入っております。

あ、まだ肝心のスターの名前まだでしたね。
●アナ・ケンドリック…スコットの姉
…当時「マイレージマイライフ」はもう撮影されておりました。ただ公開前だったので、彼女の輝きをしるものはなし。役も小さいです。ただ、翌年から監督のエドガーライトとおつきあい…撮影中に必要以上のボディタッチがあったに違いない、と僕はふんでいます。ギロリ。

●オーブリー・プラザ…スコットの友人
…ええーー!彼女を知らんん????それはまずいでっせ!
彼女はこれから(今も)様々な映画で存在を発揮している若手個性派バイプレーヤーでありつつ、最近の青春ものにかかせない「アンチ大道な女性主人公」の代表的存在。コメディ番組なんかでメキメキ頭角をあらわし、ついに映画でブレイクしたのが2012年の「彼女はパートタイムトラベラー」(監督はジュラシックワールドの方!)。その後も「私にもできる!イケてる女の10(以上)のこと」では、ティーン女優にはでけん下品すぎるティーン主人公を演じ、「ライフアフターベス」ではさらなる汚れ役&変顔に挑戦。若手コメディエンヌとして、アメリカではブレイク中です。

●クリス・エヴァンス…元カレのひとり
…わかっておりますとも、この時はすでに「ファンタスティック・フォー」のヒューマントーチ役として知られておりました。でも彼は今やヒューマントーチというよりアメリカの国有モルモット「キャプテンアメリカ」。というわけで、ブレ前俳優というよりは、「キャプテンアメリカ」前俳優としてご紹介。

●ブリーラーソン…スコットの元カノ
…ですよですよ!オスカー主演女優で、両手サイコガンのキャプテンマーベルこの、ブリーラーソンでございます。
「ルーム」より先に「ショートターム」で注目された彼女ですが、それより前に本作でその目力を発揮しておりました。彼女のきめ細かい演技と、強烈な生命力は大して役に生かされておりませんが、じゃじゃ馬感は健在。アナに追いつけ追い越せのブレイク度No.2ですね。