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サンパウロ、世界で最も有名な娼婦のemilyのレビュー・感想・評価

2.4
2011年のブラジルの伝記映画で、ブラジルの娼婦「Bruna Surfistinha」こと本名ハケウ・パシェーコ(ポルトガル語版)の自伝をもとに映画化。学校でのいじめや家庭問題から家を飛び出し、娼婦の道へ。その持前の頑張り屋な性格から、一躍人気者になり、今度は独立してブログを使って客を取り出すと、あっというまに有名人へ。そこから転落もありつつ、自分の目標まで仕事をやり遂げてすっぱりやめていったお話し。

高校生の彼女はどこかさえない感じで、女性らしさも感じなかったのですが、仕事を始めると、真面目な性格の彼女は真摯に向き合い、プロとして、立ち振る舞いや見せ方を学び、お店の女の子たちともうまくやっていく。現役時代に相手にしたお客の数は800人。ドラッグに溺れたり、セレブになった自分に過信しすぎて転落した部分も描かれてはいたものの、彼女が800人の客を相手にして、客との行為の体への代償はあまり描かれていない。そういった部分は大事ではないのだろう。もっと前向きで女性の強さと執念をしっかり描きたかったのであろう。

”プロ”としてプライドをもって仕事を行い、それによってのし上がっていった彼女のサクセスストーリー。どんな形であれ諦めず、方法を模索し、自分を強くもっていけば、必ず道は開けると言うのを”娼婦”という仕事を通してみせてくれた。そうして主人公演じる女優の体当たりの演技が素晴らしく、徐々に美しく、体も顔のラインも引き締まっていく、内側からの自信が外側にも溢れ出てくるのを感じられた。

娼婦だって立派な仕事であり、それに最後まで誇りをもち、そうして自分の目標を達成しきちんとやめていくというのが素晴らしい。だからこそ彼女ののしあがり人生には心動かされる。転落部分や仕事の闇の部分や苦悩はそこまで暗く描かれてないので、一つの物語として爽快に見れるし、どんな仕事であれ誇りをもって頑張らないとという気持ちにもさせてくれる。
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