ふじこ

降霊 KOUREIのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ずっと気になると思っていた日本ホラーの1本。

音響関係の仕事をしている役所広司が森で音を採取していたところ、変質者に誘拐された少女が逃げてきて機材を入れるボックスの中に隠れる事に。
気付かずに自宅に戻り、暫くして犯人が警察に追われて逃走中に事故に遭い意識不明に。
役所広司の妻で以前から不思議な力を持ち、霊を視る事の出来る風吹ジュンが協力していた大学の心理学専攻の学生?である草彅剛に誘拐されたと思しき少女の行方を探す事を依頼され、警察と彼の指導教員と共に霊視を頼まれるもののハッキリした事が言えない。
一応少女の写真を貰って家に帰ると、ふと件の少女が物凄く近くにいる気がする…!と夫と一緒にガレージのボックスを開けると意識を失っている少女を発見する。
急いで警察…病院…と慌てる役所広司に、風吹ジュンが静止をかける。


突如として湧いてきた風吹ジュンの上昇志向に えっ…となった。
どっちにしても、物凄く迷惑な話で、流れによっては役所広司が犯人の共犯に仕立て上げられてもおかしくないのはまぁ分かるんだけど…。
わたし、このまま終わっちゃうのかな…とか言い出してちょっと笑った。
それに乗っかる役所広司も不思議だし、2人共全然少女の心配していないのがなんだか怖い。
自分から大学の人に連絡を取って、あそこに少女の持ち物がある気がする!とかやったり。
で、なんだかんだで少女を殺してしまう。

そんで取り憑かれちゃう。今まで全然そんな事なかったのに役所広司にもバッチリ見える上に、物理的に殴ったり出来るようになるし、もう一人の役所広司も現れて燃やしたりしちゃう。

夫婦揃って少女の遺体を遺棄するんだけど、昏睡状態の犯人と比べて死体新しすぎない?と怪しむ刑事。
ある日草彅剛と刑事が家に来て、女の子の霊を降ろす降霊術をやると言う妻。
大丈夫なのかよ…と心配するものの開始され、今何処にいますか?という質問に土の中、草むら…土の中と繰り返す。
若いお兄ちゃんが殺した、と。

見守っていた役所広司がカーテンを開け、分かりました、もう止めてください と伝えると妻が立ち上がって どうして?なんでよ!と怒りを見せるものの、刑事が 女の子の遺体はもう発見されました、今は警察病院に安置されていますと答える。
夫は ジュンコもう良いよ と制し、熱り立つ妻に草彅剛は ジュンコさん 初めて僕の前で芝居しましたね。
壁の裏で座り込んだ妻に、ジュンコ…何持ってる?その手の中に持ってるもの…と近づく。
震えながら固まった手を開くと、女の子の遺体を遺棄した後、ベッドの脇に落ちていた女の子の髪飾り。
草彅剛と刑事が 女の子のものですね?どうしてこれを と妻に尋ねているのを窓際で真剣な、思い詰めたような表情で見詰める役所広司でおしまい。

ホラー映画っていうか…なんだろうなぁこれ平凡に慎ましく生きてきた一組の夫婦が…その生き方に疑問を持ってしまった。中年の危機と言うにはなんともマズいタイミングで、マズい出来事を踏み台に。
殺すつもりはなかったのだろうけれども、余りにも女の子の生命や心身の安全が軽んじられていて、なんかこう心の表面だけどサワサワ…とされるような不穏というより不快な気持ちがジワジワくる。
役所広司の主体性のなさにも驚くけれど、呪うならジュンコじゃなくて俺にしろ!とあくまでも妻に寄り添って庇う夫だったはずなんだけど、最後の最後に妻を追い詰めるのは夫なんだよね…。殺したのは多分役所広司なんだけど、えっ全部ジュンコのせいにした…?と思ったところで突如エンドロールに変わってしまう。
ただ、役所広司が居た場所から妻が手に何かを握っているのは分からないし、どうして最後にアレが分かったんだろう…って考えると、呪われて取り憑かれた事で役所広司にも霊能力が宿ったか、もしくはこれ何処かのタイミングで死んでない?って気持ちになる。
もう一人の役所広司を燃やした辺りかな、と思ったけどその後哀川翔(神職)にお祓いして貰ってるんだよなぁ…。
でもその後職場で仕事中に、録音ブースの外に声を掛けたけれど、外に出ると誰一人としていなくなっている。
そこで出て来た女の子の霊に、お腹にベタっと付けられた手型…のせい?で霊能力を?透視?
死んでる説は最後にカーテンを開けて妻の降霊を中止させた時に一応刑事が軽く目線をやってるからナシかな。
女の子はジュンコの方を主に恨んでたって事なんかなぁ。役所広司だけだったらすぐ通報してたし…でもジュンコが居なかったら次に機材ケースを開けるまで気付いてないだろうし…う~む。
ムズいな…!と思って観終わった。

あと誘拐された少女の 日常のどこで着るんだよってくらい鮮やかなライトグリーンのワンピースはちょっと場違い感が強すぎるんじゃないかな~って思ってたんだけど、土に埋められた後でちゃんと汚れて出て来た辺りは雰囲気が増してて 考えられてるなぁって。

役所広司が洗濯物を干してるシーンで窓に映る現実感のない少女は、少女の写真を窓に貼って撮影したらしい。あの違和感は凄いなぁと思ったし、所謂"霊が視える人"にとってこの映画に出てくる霊がすごくそれっぽいらしい。
本編内容はムズいな~と思ったけど、端々のエピソードや演出が巧みだなーってところは理解出来た。
ふじこ

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