ルサチマ

マイルストーンズのルサチマのレビュー・感想・評価

マイルストーンズ(1975年製作の映画)
4.5
なにがドキュメンタリーだ。少なくともロバート・クレイマーは平気で脚本を与えてるし演出をつけてる。
怖いのはカメラを散々位置変えまくって撮影してるくせに、発せられる言葉が生命力を失ってないことだ。
異常なカメラの切り替わりは寧ろ明らかにこの映画は嘘の連続であることを知らしめようとしているようにさえ思える。
ワイズマンは建物の中にいる人間の出入りを待ち構え続けながら、そこにいる人間をひたすら観察する(故に被写体によっては地味な映像がひたすら続く)のに対して、クレイマーはあくまで人間にひたすらカメラを向け続け、彼等を意図的に移動させることによって映像の強度が彼等の言葉を凌駕する。
集団の中の個人を撮るワイズマンに対し、個人が移動によって共同体との共有不可能な何かを共有するまでを撮ろうとしている。

前半はウトウトしていたが、後半からメキメキと強烈な映像をブチまけだすもんだから、あの居心地の悪いアテネフランセで時間を感じなかった。
ラストの出産シーンもこの映画でなければシツコイと拒んだであろうが、なんかもう見続けることしか出来なかった。
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