むうぴょんこ

風の名はアムネジアのむうぴょんこのレビュー・感想・評価

風の名はアムネジア(1990年製作の映画)
5.0
【人類が全ての事を忘れ去った世界観を描き切った傑作】

さてさて、皆さんが沢山の有名人気作品をレビューしている中、天邪鬼な私は彼女の制止を振り切って、超マイナーでしかも一般には受け入れがたいアニメ作品をご紹介しますっ(笑)

そんな今回は、あの『吸血鬼ハンターD』や『妖獣都市』などのチョイエログロ系のSFファンタジー著者である菊池秀行さん原作で・・・1990年に公開された『風の名はアムネジア』って、みんなあまり知らないよね??

なんでこの作品を選んだかっていうと・・・この前、彼女と本屋さんに行った際、レジへと続く通路に菊池秀行さんの吸血鬼ハンターDが沢山並んでて・・・そういえば子供の頃、菊池さんにすっごくはまってたなぁ~って思い出しちゃって(笑)

それまでは歴史小説や伝記小説、推理小説や旅行記、そしてお堅いドキュメント作品や技術書(笑)にハマってたんだけど・・・そんな私を一気に虜にしてSFファンタジーに引き込んだのが菊池秀行さんの『吸血鬼ハンターD』で・・・その影響で夢枕獏さんや平井和正さんなどのファンタジー系も読むようになって・・・うわぁ~、大人ってこんなすごい事するんだぁ~って・・・あはは・・・その頃から天邪鬼でかなりのマセガキだったんです(笑)

まあ、そんな話は放っておいて・・・
そんな本作って、どこにも菊池秀行さんらしき雰囲気が見えないのが逆に面白いかもって思ってたり??

そんな本作で重要なキーワードがアムネジアで・・・その単語はみんなは知ってるかな??

アムネジアとは記憶喪失症の事で、健忘症とも呼ばれていて、一種の記憶障害の状態にある事を指します。

まあ、認知症なども記憶障害の一種ですが、脳細胞の老化や病気による原因の障害とは違い、文字通り健康であるのにも関わらず、記憶に障害を抱えた状態で・・・って、頭を強く打って記憶に混乱を起こした際もアムネジア(Amnesia)って呼ばれる場合も多いから・・・まあ、適当に考えてねっ(笑)

そんな重大なタイトルを付けられた本作は・・・

全世界に風が吹いたある日を境に、全人類は言葉はおろか、生まれ出た時からの記憶と知識を一切失ってしまい、老若男女問わず、弱肉強食の獣と化してしまうのです!!

まあ、理性が無くなってしまえば人間など、ただの哺乳類でしか無いわけで・・・それが人間の真実の姿っちゃあ、姿だよね??

そんな予告編がこちら!!
【Youtube ”予告編”】
https://www.youtube.com/watch?v=Sq5gN3vyDxk

全てを無くした主人公であるワタルもそんな獣のように暮らしていましたが、ある日、何故か記憶を失っていないジョニーと出会い、彼により、言葉と人間らしさを取り戻します。

しかし複数の記憶領域を持つジョニーはその後、直ぐに亡くなり、ワタルはジョニーの言葉に従い、世界を見届ける旅にでるのです。

要はね、ワタルと名付けられた主人公は文字通り、世界を渡っていくことになるんだけど、その一番の出会いがソフィアなわけで・・・この傍観者であるソフィアと人間の立場から世界を見続けるワタル・・・その二人の関係にハラハラドキドキしちゃう・・・って、文字通りクライマックスでは赤面しちゃって思わず早送りしちゃったりして??

結局ね、善人と悪人の違いは何なのか?
人にとって何が一番大切なモノなのか?
人間にとって必須の社会とは?
その社会での常識とは?
そして人類の日々の営みと切り離せない文明と宗教とは?

そうした奥深いテーマに沿って話が進んでいくのでアニメ作品ながら、まるで心理学のテキストを読んでいるような感じにも陥っちゃう不思議な作風にもなっているのです!!

そういう内容なのでアニメ作品と言っても安易な作品ではありません!!

確かにロボットは出てくるけど・・・あの設定なら別にアニメじゃなくてもいいと思うし、アニメならではの派手なアクションも無いしね(笑)

なので、物事を深く考えたいと思っているけど、学術書は読みたくない、そんなライト志向の方に一番合ってるかも??

もしハリウッドで映画化したら今なら大ヒット間違いなしって思ってたり・・・って、言い過ぎかな?(笑)

まあ、興味が出た方はツタヤにて借りてみてくださいな!!
視聴後は人にもよるけど、それなりに爽やかな気分になれるかも?(笑)

深夜、独りで観て欲しい・・・むうでした!!