カツマ

ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区のカツマのレビュー・感想・評価

3.4
ポルトガル生誕の地、ギマランイス歴史地区。2012年、この地が欧州文化首都に指定されたことを機に制作されたオムニバス映画がこちら。個性豊かな4人の監督がポルトガルの歴史に即した4編を提供。結果としてポルトガル色よりも、それぞれの監督の個性が爆発した短編集が出来上がってしまった(笑)

まずは安定のカウリスマキ。
小料理屋の店主が手を替え品を替えお店にお客を呼び込もうとするも、何も変わらない無為な時間が過ぎ去る。あまりにもいつも通りのカウリスマキ作品なので、舞台はポルトガルというよりフィンランドに見えてくる作品です。

混沌のペドロコスタ。
4作のうちもっとも意味不明だった作品。こちらの創造力をヘシ折るほど、ヒント無し、手がかり無しのラビリンス。密室空間にて、黒人男性が彫刻のような兵士と何やら会話し続けるだけの話である。歴史を紐解いていけば、少しは理解できる話のようです。

郷愁のビクトルエリセ。
閉鎖した紡績工場での生活を回想する人々のインタビュー形式のお話。辛かったこともあったろうが、彼らは皆それぞれにノスタルジーを胸に抱え、それぞれの心の内を曝け出す。ビクトルエリセが長年の沈黙を破った作品として注目された作品です。

無邪気なマノエル・ド・オリヴェイラ。
コスタ、エリセの2作品を見たあと、頭の中をシェイクされた状態で見ると妙に清々しい。オリヴェイラの孫がツアーコンダクターを務め、ギマランイス歴史地区にツアーに訪れた観光客を案内する、というもの。ん?これ映画なのかな?もしもツアーズ?

という個性豊かな4作品でお届けしたオムニバス作品!やっぱりカウリスマキが一番好きかな。ペドロコスタはもはや狂気を感じたし、続くエリセは残念ながら睡魔との激闘となり、ラストのオリヴェイラのオチでズッコケて終わりました(笑)
とにかく作品ごとの振れ幅が東京からリスボンくらいの距離感!頭の切り替えをルービックキューブ並にシャカシャカ言わせながら、アーティスト達が描いたポルトガルを楽しんでみてください。
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