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大統領の料理人のトレバーのレビュー・感想・評価

大統領の料理人(2012年製作の映画)
4.5
台風、大丈夫でしたか?
関東地方、かなり被害が出たようですね。
九州での事態ほどではないにせよ、交通網の
復旧が昼あたりまでかかり、午後出勤や休みになった方、
急遽呼び出された方もいらっしゃったでしょう。

被害の処理をされていたり、朝の通勤で何時間も
待たされた方々、お疲れ様でした。

ボクは結局今日はお休みになり、急に出来た休み
なにをして過ごそうかと考えるまでもなく、
ホームシアターする事にしました。

好きな映画をかけながら、家事や読書。
一通り済ませてから、初見の映画を。

フォロワーの方のレビューを拝読して、
その内容に感銘を受けてこれはいつか
観なければと思った矢先の棚ぼたな休み。
これは何かの巡り合わせかなと鑑賞しました。

実際にいらっしゃる料理人をモデルにした物語です。

ミッテラン大統領時代のフランス。
素材の良さを活かした、「おふくろの味」を
希望した大統領が呼びつけた、ロブションが
名刺を交換したほどのセンスと腕前を持つ
オルタンスは、フランスの片田舎でレストランを営みながら、
フランスの郷土料理を海外から学びに来た人達に
教えたりしていました。

官邸は、完全に男社会。
それまで女性がいた事の無かった「聖域」で、
オルタンスは自分のやり方を変えずに過ごします。
若い助手や何人かの理解者とともに、あくまで
デコレートされたものではない、トラディショナルで
かつ素材の美味しさを活かした料理に、大統領は
いたく感動してオルタンスに直接礼を伝えます。

伝統に基づいた料理の素晴らしさを語り合い、意気投合する2人。
何度かオルタンスを呼び、職務の移動時間も忘れ話す大統領。
お互いに敬意と思い遣りを持ってやり取りを重ねる中、
オルタンスは官邸のシェフ達に疎んじられていきます。

オルタンスは、約2年で疲弊して退職、
南極観測隊の専属シェフとして勤務します。
観測隊の男所帯には信用され、頼られるオルタンス。
官邸時代のエピソードと対比するように語られていきます。

官邸時代は、陰口を言われながらも自分の好きな
服、ヒールで颯爽と歩きます。
観測隊時代は、髪すらとかさずボサボサ、防寒具を着用。
どちらも、黒いエプロン。

一方では、男社会の厄介者。
一方では、男社会のまるでマドンナのよう。

ちょっと気が強いけど、自分の仕事には最善を尽くして
激務の大統領の心を癒すオルタンス役の
カトリーヌ・フロが、とにかく素敵で。
どこかチャーミングですらあります。
年齢を重ねた故の魅力、女性にもあります。

オルタンスが作る料理が、とにかく美味しそう。
お腹が空いてしまう事、うけあい。

プライド、とはちょっと違うかな。
仕事を与えられ、それを待つ人(達)のために
ベストな仕事を心を込めて、積み重ねていく。
プロってこういう事なのかな、と。
どんな仕事でも同じなんじゃないかなって。

オルタンスは、1年の勤務を経て南極を去ります。
隊員から惜しまれる事で、その積み重ねは伝わっているんだなと
自分の事のように嬉しくなります。

オルタンスには、未来があります。
自ら掴もうとしている未来が。

よい休日になりました。ありがとうございます。
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