カメラが近い、状況のわかりやすさよりも臨場感重視の撮り方。
舞台が船上であるため、絶えずカメラが揺れている。危機一髪の場面でより一層揺れが激しくなる。
闇雲にそういう撮り方を続けているわけではなく、武力行使で場を制そうとする海賊たちに対し、フィリップス船長(トム・ハンクス)が冷静に状況を読んでなんとかイーブンの状況にもっていこうとしているのがわかる撮り方をしている。
ドラマの導入部分の撮り方がとくに上手い。
乗船する前の、奥さんとフィリップ船長のやりとりも地味だけど効いてる。
機長になったり看守になったり色々やってきたトム・ハンクスが、ここにきてキャリア屈指の演技を見せている。フィリップス船長は「プライベート・ライアン」のミラー大尉よりも優れたリーダーだ。
こういう生々しいサスペンス系に弱くて、中盤なんかは入り込みすぎて疲れてしまったが、相当な作品だと思う。
のっぴきならない、どん詰まりの状況で繰り広げられる法廷ものみたいな心理的駆け引き。極限状態、感情は押さえつけられるから、最後の最後には…
星の数少ないのは平和な日本だからですかね。もっと評価高いと思った。
「この茫漠たる荒野で」の予習だったけど、マジで楽しみになった。