けーはち

イップ・マン 最終章のけーはちのレビュー・感想・評価

イップ・マン 最終章(2013年製作の映画)
3.5
ブルース・リーの師として知られる葉問(イップ・マン)を描く伝記アクション。ドニー・イェン主演のシリーズとは全く別モノだが、監督曰くイップ・マンは『スパイダーマン』みたいなヒーローなのでシリーズ乱立も仕方ないとか。そんな言い訳を話半分に観ても、イケメン達人ぶりやアクションのキレでドニーとは比べるべくもないが便乗作品にしては良作。原色まみれのカラフルな街並みを見せる空撮視点で当時の香港の臨場感たっぷりに開始、実力派男優アンソニー・ウォンを主演に晩年の葉問の比較的生々しい姿(妻と離別後、若い娘にハマッたり、アヘンを使ったり)を描きつつ、そんな師を軸にした弟子達の青春群像劇の色合いを見せる。ケレン味もたっぷりでアクションも充実。サモ・ハンの息子ティミー・ハンを新聞紙1枚の幅に立ったまま捌き切るシーンは狭い場所での短打接近戦を想定した実践武術、詠春拳らしさを表現。白鶴拳エリック・ツァンとの手合わせは『インファナル・アフェア』を思い出させる名場面。香港黒社会の巣窟、九龍城の主たる「地頭龍」ホン・ヤンヤンとの地下闘技場でのバトルも、ダーティな攻撃を仕掛ける相手に生命までは取るまいとクリーンなファイトに徹する葉問の漫画めいた正義漢ぶりには、もはや何も言えまい。